ジークアクスと二次創作「同人やファン層の強さも含めてガンダムの強さ。ファンと一緒に物語を作る楽しさがあるといい」【鶴巻監督に聞く・下】Photo by Masato Kato ©創通・サンライズ

『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX(ジークアクス)』は、ガンダム作品を根強く支えるファンとの交流や二次創作などの影響が垣間見える作品ともなっている。特集『ガンダム・ジークアクスの舞台裏』(全10回予定)の#3では、ガンダムを語る上では切り離せない、ファンとの関係性について鶴巻和哉監督に聞いた。※本文には一部テレビ最終回のネタバレを含みます(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

ガンダムオタクが喜んでくれるようなネタを
たくさん入れているつもりです

――ガンダムが巨大化したり、シャアが変身したりという展開をSNSで予想していたファンもいましたね。最終回では、さまざまな「シャアが搭乗する赤い機体」の画像が一瞬だけ映るシーンを題材に、それぞれを特定する考察陣が現れたりして、ファン全体で楽しんでいる感がありました。

 僕も庵野(秀明・カラー社長)も榎戸洋司(シリーズ構成・脚本担当)さんもガンダムオタクなんですよね。みんなオタクが喜んでくれるようなネタをたくさん入れてサービスをしているつもりでして、テレビ第2話(および劇場版)で出てくる、ガンキャノン(*1)とガンダムが戦うシーンとかも本来はストーリー上不要なんですが、尺がないところを頑張って入れています。自分がオタクだったらこれ絶対に見たいとか、面白がることができるシーンみたいなことを入れ込んだ。

 1作目の「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」の機体が多いのはまた別の理由があって、メカニカルデザイナーの山下いくとさんが赤いガンダムとかジークアクスをデザインするに当たって、まずその世界の技術レベルとかを決め込んでからデザインした、という経緯があるからですね。まず一年戦争(*2)の機体のデザインと技術レベルがこうであって、その延長線上に戦争終結5年後は技術が少し発展してこうなっている、のように想定する手法でデザインをやっていたみたいです。

強固なファンベースを持つガンダムだが、そうしたファンによる二次創作や同人活動もガンダム本編制作に影響を与えていると鶴巻監督は話す。著作権の関係から一時はタブー視されていた二次創作について、鶴巻監督は自身が長くガンダムファンであった経験も踏まえ、「物語の隙間は公式ではなくファンが埋める方が健全」とまで言い切る。その理由とは。エヴァンゲリオンに似たガンダムがたくさん出てきた理由についても語ってくれた。