この状況が変化し始めたのは、ユーチューブの登場後だ。動画を自由にアップロードできるようになったことで、プレイヤーたちは仲介者を介さず、世界記録を直接共有できるようになった。
これにより新たな最高スコアの提出が容易になったが、そこには重要な副次的効果があった。世界記録を達成する様子を動画で投稿すれば、誰もがそのプレイを見られるようになったのだ。
それまでは、ツイン・ギャラクシーズは最高スコアのみを掲載し、それを検証するために使用された証拠自体は公開していなかった。しかし今や、人々はトップクラスのテトリスプレイヤーの技術に感嘆するだけでなく、彼らがどのようにプレイしているかを実際に目にすることができるようになったのである。
画面の映像だけでなく、プレイヤーの手元の映像を記録することも一般的となった。手の動きが観察可能になったことで、ボタン操作の画期的な手法が広く再現されるようになった。
オンラインで公開されることで
徹底的な透明性を強いられる
たとえば「ハイパータッピング」として知られる手法は、プレイヤーが親指を振動させて方向ボタンを1秒間に10回以上押すというもので、レベル29の壁を突破する鍵となった。
この手法を発明したのは、初期のベストプレイヤーであるソー・アッカーランドだったが、彼のプレイを目にし、さらに模倣できる人はほとんどいなかったため、20年近く使われないままとなっていた。
ライブストリーミングはまた、解説のインセンティブも生み出した。視聴者とコミュニケーションするよう迫られたトッププレイヤーたちが、プレイ中の思考をリアルタイムで共有するようになったのである。
議論は双方向で行われ、トッププレイヤーが戦略を共有するだけでなく、視聴者もすぐに潜在的なミスを精査できるようになった。それまでのゲームマスターたちは、自分に優位性をもたらす秘密の戦略を、用心深く隠していたのかもしれない。
しかし現代のプレイヤーたちは徹底的な透明性を強いられ、すべてのボタン操作が世界中に公開されることとなったのである。