2年生の春休みスタートが安心
そして、従来の「3月解禁」という経団連の就職活動に関するルールは、もはや完全に形骸化しています。
罰則があるわけでもなく、銀行や商社といった、以前は頑なにルールを守っていた企業も、2026年卒では年内に内定が出ていました。例えば、ある大手商社は年内に内定を出していますし、政府系金融機関でも、実際の内定は4月頃に出ています。
これは「いい人材を可能な限り早く採用したい」という企業の本音を表しています。
このような状況を考えると、学生はサマーインターンシップに間に合わせることを前提に就職活動の準備をする必要があります。感度の高い学生は3年生になる前、つまり2年生の春休み(2月頃)から動き始めています。これが現在の「安心ライン」と言えるでしょう。
実際、我究館には大学1年生の5月に説明会に来る学生もいます。早く動き始めることで、余裕を持って自己分析に取り組むことができ、その後の「社会を知る」「業界を知る」「企業を知る」「仕事を知る」というステップにもしっかりと時間を割き、強いガクチカを作ったり、伝える力を高めたりすることもできます。
現在はサマーインターンシップをはじめとする「選考①」と、本選考などの「選考②」という区分けがありますが、企業によってはさらに柔軟な対応を見せています。
ある日系コンサルティングファームのように、4年生の5月の時点で一次選考としてもう一度グループディスカッションを実施する企業もあります。これは「いい人材がいればいつでも採りたい」という姿勢の現れです。
学生にとってはチャンスが多様化する一方で、何度も選考を経験するということは、長期間にわたって何度も「不採用」を言い渡される機会が増えているということでもあり、相当なストレスを感じることにもなります。
保護者世代とは「全く別物」
学生の保護者は、就職活動が自分の時代と比べものにならないほど複雑化・激動化していることを理解していただきたいと思います。
これまでは、本選考に向けて直線的に就職活動が進んでいましたが、現在は大学のキャリアセンターの職員の方でさえ「あまりにも変化が激しく混乱している」という状況なのです。
インターネットでも様々な情報が錯綜し、学生は大混乱の中で就職活動を進めています。就職活動は確実に激動の渦中にあります。
ただ、「何を」「いつまでに」「どのように」といった正しい準備と戦略があれば、必ず道は開けていきます。どのようなことにも言えますが、行動力と成長幅は比例します。
「強み」を磨き、「弱み」に向き合って「強み」に近づけていく努力をし続けることで、驚くほどに成長を実感できるはずです。熾烈な環境ですが、これが現在の就職活動の実態です。
(本稿は、『絶対内定2027 自己分析とキャリアデザインの描き方』『絶対内定2027 エントリーシート・面接』の発売を記念した、オリジナル記事です)
株式会社ジャパンビジネスラボ代表取締役社長/キャリアデザインスクール・我究館館長/『絶対内定2027』シリーズ共著者、国家資格キャリアコンサルタント
青山学院大学経済学部卒業後、日本航空にて客室乗務員(CA)として勤務。その後、夫・杉村太郎のハーバード大学ケネディスクール留学に帯同し、帰国後はテレビ朝日・BS朝日にてニュースキャスターとして活躍。社会の最前線から情報を伝える立場を経験したのち、証券アナリストに転身。上場企業の経営者100名以上に直接インタビューを行い、企業分析や業界研究のスキルを培う。その後、大和総研にてマーケットリサーチ、営業支援、広報、そして新卒採用(インターンシップ設計を含む)や人材育成など幅広い業務に従事。採用と育成の“企業側”のリアルな視点を熟知している。2014年に株式会社ジャパンビジネスラボ代表取締役に就任。2023年よりキャリアデザインスクール「我究館」の6代目館長として、学生の「本気の就活」に伴走し続けている。多彩なキャリアと人生経験を活かし、「やりたいことが見つからない」「自分に自信が持てない」と悩む学生一人ひとりに寄り添い、我究(自己分析)を通じて“自分だけの道”を見つける支援を行っている。