第二会社から
本店事業を新たに分社化

 平川物産から採算事業を引き継いだのが2社目の(株)聘珍樓だった。だが、この会社は約2年後の2018年4月、新設分割方式で新たに同社名の(株)聘珍樓を分社化している。3社目の聘珍樓に中華街の本店事業を切り離した。

 これ以降、中華街の本店とそれ以外の事業を運営する2社の聘珍樓が並走することになる。当時、この変遷には複数の見方がついてまわった。1つは経営効率化を意図した組織再編というもの。そして、もう1つは本店の事業再生が見通せないため、他店の足かせにならないように本店だけを切り離したというものだった。

 結果的に、後者の予想が的中することになる。横濱本店は、競合で経営再建が進まなかった。そこにコロナ禍が猛威を振るい、外出・外食控えが広がり、中華街からも一時的に客足が途絶えた。事業環境の悪化に耐え切れず、ついに2022年3月7日、3社目の聘珍樓は「5月15日をもって横濱本店を閉店する」ことを発表した。

中華街の名門「聘珍樓」が3度目の倒産…それでも消えぬ「復活」の可能性聘珍樓横濱本店(2022年6月東京商工リサーチ撮影)
中華街の名門「聘珍樓」が3度目の倒産…それでも消えぬ「復活」の可能性コロナ禍の中華街(2020年4月東京商工リサーチ撮影)

 これには後日談がある。取材を進めると、本店は家賃の滞納などで営業継続が困難な状況に追い込まれ、閉店公表時には債権者から破産を申し立てられていたことがわかった。3社目の聘珍樓は最終的に2022年6月2日、破産開始決定を受けた。負債は約3億500万円だった。