ここで「割高・割安」という表現は、あくまでわかりやすさを優先した表現であることに留意が必要です。
一般的に企業の将来的な成長期待が株価に反映されれば、PERやPBRは上昇します。反対に、PERやPBRが低いということは、投資家がその企業の成長を疑問視している、あるいはその企業の成長力を見落としている可能性が考えられます。
その点、日本株は割安というよりも低評価と言わざるを得ない面があります。PERは米国企業に比べて低い傾向にある他、PBRが1倍を割っている企業は日経平均株価に採用されている225銘柄のうち約4割を占めます。これだけ多くの銘柄が割安に放置されているのは、国内外の投資家が上場企業の経営に何らかの不満を抱いている可能性が高いと判断されます。
PBRの低い企業はバリュー株(割安株)とも言われます。割安と言えば聞こえは良いのですが、換言すると投資家の期待を満たせない「訳アリ」の企業と認識されているのです。
売上の伸びが鈍化したり、利益率が低下したり、余分な現金を貯め込んだりするなどして、成長期待が乏しくなるとPBRが1倍を割れる傾向にあります。また、多角化戦略を採用する企業もPBR1倍割れに陥る傾向があります。
PBR1倍回復に向けた取り組み
では、どれくらいの利益率が合格点なのでしょうか。
あくまで上場企業全体の平均に過ぎませんが、一般的にROE(自己資本利益率)は最低8%必要と言われています。ROEは、株主が企業に託した「自己資本」を元手にどれだけ利益を計上したかを示す指標です。
換言すると、ROEが8%に届かない企業は、投資家の要求を満たせていないということです。株式市場で低評価となり、結果的にPBRが1倍を割ってしまう傾向にあります。
「低評価」と「割安」を見極める一つの判断基準として、ROEが8%を安定的に超えているかが重要になります。ROEが8%超でPBRが1倍を割れているのであれば、その株式が「お買い得」である可能性があります。