英語を勉強しているのに、なかなか話せるようにならない。そんな悩みを抱える人におすすめしたいのが、『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』(森秀夫・著)だ。イラストを見て、頭に浮かんだことを瞬時に英語で言うトレーニングを通じて、日本語を介さずに反射的に英語が出てくる力が身につくと話題の一冊だ。本書の著者であり、英語教育の専門家である森秀夫(麗澤大学外国語学部教授)氏に、今回は「英検2級・準1級・1級の要約問題で高得点を取るためのポイントと勉強法」を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【英検対策】要約問題で高得点を取るカンタンな方法Photo: Adobe Stock

要約問題が新設された理由と、得点アップの勉強法

―― 昨年から、英検の2級、準1級、1級の一次試験の中で、「英文を要約する問題」が新たに追加されました。苦戦している人も多いと思うのですが、要約問題はなぜ新たに追加されたのでしょうか?

森秀夫(以下、森):近年、訪日外国人観光客が増加するなど、グローバル化が急速に進んでいます。

 その影響で、自分の意見を論理的かつ明確に伝えるスキルが重視されるようになったからではないでしょうか。

―― 中学や高校の英語の授業では、リーディングや文法に多くの時間が割かれ、和文英訳はしても、英語で意見を書いたり要約したりする授業はほとんどなかった印象があります。

:そうですね。ライティングやスピーキングといったアウトプット能力は、会社や国際社会においては、求められる場面が増えています。

 しかしながら、日本の英語教育では、アウトプットの授業、特にライティングについての指導がまだ十分ではないのが現状です。

 しかし、英検のライティングテスト(第4問:要約問題、第5問:意見論述問題)は、試験全体の合計点の約3分の1を占めるため、合否を大きく左右する重要なパートとなっています。

―― なるほど。ですが、要約文の作成に慣れていなければ、どう取り組めばよいのか分からず、戸惑う人も多いと思います。学習する上で、どのような点に気をつけるべきでしょうか?

:はい。英検の要約問題に対応するために、特に大切な2つのポイントをご紹介します。

ポイント①:類義語を使う力

 ライティングでは、同じ単語をくり返し使わずに表現する力が問われます。

 特に、やさしい単語を繰り返すと稚拙な印象を与えることがあるので注意が必要です。とはいえ、難解な語を無理に使う必要はありません。

 要点を的確に、自然な表現で伝えるためには、日頃から類義語のバリエーションを増やしておくことが重要です。

例:

「仕事」(名詞)

job / work / occupation / profession

「危険な」(形容詞)

dangerous / risky / hazardous / perilous

 このように、類義語を整理して自分の引き出しに加えておくことが大切です。

ポイント②:具体的な語句を抽象語句に言い換える力

 要約では、元の英文と同じ単語や表現をそのまま使うと評価が下がる可能性があります。

 単に抜き出すだけではなく、「共通項」や「上位概念」を見つけて抽象化するスキルが必要です。

例:

droughts, earthquakes, and floods(干ばつ、地震、洪水)

natural disasters(自然災害)

wind turbines, solar panels, and hydroelectric dams(風力タービン、ソーラーパネル、水力発電ダム)

green energy sources(再生可能エネルギー源)

 このように、具体的な語と抽象的な語の対応を整理しながら、言い換えの引き出しを増やしていきましょう。

要約文のチェックリスト

―― ありがとうございます。最後に、実際に要約文を書く際に気をつけるべき点があれば教えてください。

:はい。下記のチェックリストを使って、自分の要約文を客観的に確認することをおすすめします。

 実力をつけるには、数多くの問題に挑戦し、要約に慣れることも重要です。

①内容

□ 各段落の主題が明確に反映されていますか?
□ 重要な情報がきちんと含まれていますか?
□ 自分の意見が混ざっていませんか?
□ 具体例は抽象的にまとめ直していますか?
□ 課題文の内容を正確に理解できていますか?

②構成

□ however、thereforeなどのつなぎ言葉は適切に使われていますか?
□ 各段落の主旨が要約文に適切に反映されていますか?
□ 課題文の表現をそのまま引用しすぎていませんか?
□ トピックと無関係な内容が含まれていませんか?

③語彙

□ 正しい語彙を使い、繰り返しやスペルミスがないか確認しましたか?
□ 語数制限を守っていますか?
□ 課題文の語句をそのまま繰り返さず、適切な言い換えができていますか?

④文法

□ 冠詞や三人称単数のsなど、初歩的な文法ミスがないか確認しましたか?
□ 短縮形は使用せず、大文字・小文字の区別、句読点も正確に使っていますか?
□ カンマやピリオドを忘れていませんか?
□ 単数や複数形は適切に使われていますか?
□ 時制は正しく使われていますか?
□ 文構造を変えて(受動→能動、名詞→動詞など)、自然な言い換えができていますか?

 英検の要約問題は、一見難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえてトレーニングを重ねれば、確実にスコアアップにつながります。ぜひ、ここで紹介したポイントを踏まえて取り組んでみてください。

参考文献:『英検®準1級ライティング超対策 15回模試』(森秀夫・著、コスモピア)