この実験結果は、昼間の仮眠が、関係をつくり、ルールを引き出し、全体像や概念を導き出す能力である「関係記憶」を向上させることを示している、と博士は昨年、米国の神経科学会で報告しています。

 そして「昼寝は、別々に学んだ関連のない情報を関係づけて一般化するのを助けます。睡眠は、目覚めている間の経験の記憶をより“深める”活動的な時間です」と語っています。

良い環境で良い眠り

 通常の夜間の睡眠においても、質の良い睡眠によって、深い眠りをしっかりとることが、関係記憶はもとより、記憶力全般を向上させます。

 そのためには、良い環境で眠りにつくことが大切です。熟睡を得るためには、身体を締め付けない、ゆったりとした服装で、室温は少し涼しく、部屋をできるだけ暗くして、静かな環境で休みましょう。

 例えば、夜間の睡眠中の深い眠り(徐波睡眠)を、目が覚めない程度の音で妨害すると、眠りが浅くなり、記憶の形成が妨げられることがわかっています。このような状況では、総睡眠時間は十分でも、徐波睡眠とレム睡眠のバランスが崩れて、記憶に関連する脳の領域の血流が減少します。結果として、音の妨害がなかった場合と比べて記憶力が低下することが確認されています。

 同じ昼寝でも、テレビを観ながらのうたた寝では、恩恵は期待できないかもしれません。

昼寝の前に大切なこと

 記憶力または創造性における、昼寝または睡眠の効果が十分に発揮されるには、睡眠の前の経験と学習の内容が大切であることは言うまでもないことです。

 別の研究で昼寝の記憶力を向上させる効果は、昼寝の前におこなった「学習の質」に依存することが確認されています。この研究では、仮眠前の学習をしっかり行なった人にだけ、昼寝のメリットがあらわれることが明らかになりました。睡眠は、目覚めている間に経験したすべての情報を無差別に等しく処理するわけではないのです。

 オックスフォード大学の数学者のペンローズ博士は、創造性とは「何かを思い出そうとすることに似ている」と述べています。果報はただただ寝て待つより、目覚めた後には引き出そうという意欲を持つほうが効率的といえそうです。