
日経平均株価は史上初めて4万5000円を突破した。日本株市場は外部環境の安定化とともに、国内独自の構造要因が注目を集めている。自民党総裁選による新政権の金融・財政政策の拡張、日本企業の業績底打ち、さらにROE改善や世界製造業サイクル回復への期待が株価を支える。短期的には総裁選、中期的には業績・ROE拡大が上昇のけん引役となる見通しだ。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)
日本独自の変化が市場を押し上げる
総裁選が株価の上振れ要因に
日本独自の構造的な変化がアルファ(編集部注:市場平均を上回る超過リターン)として注目される市場環境に入ったと考えている。
日本株は世界景気の影響を大きく受ける。そのため、日本国内でのインフレやコーポレートガバナンス改革などの構造的な変化は、海外景気、特に米国市場に対する不確実性が高いときには注目されにくい。
しかし、現在は日欧が米国との関税交渉で合意し、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ開始への確度が上昇し、米国の株式市場が堅調に推移することに対する確信の度合いが株式市場において高まりつつある。
外部環境が安定するなか、日本は自由民主党の総裁選挙の実施が決まり、新政権の下では現政権と比較して緩和的な金融政策が予想される。加えて、日本企業の業績予想が想定よりも早く底打ちしてきたことで、業績の先行きも明るくなってきた。当面の株式市場は日本独自の要因がけん引し、上振れを意識する展開になるとみている。
短期的にはやはり総裁選が注目されるだろう。候補についてはさまざまな報道がなされているため、ここでは各候補者についての詳細は割愛する。しかし、いずれの候補者が選出されたとしても総裁選は株式市場にとってはポジティブだと考える(図表1参照)。
自民党が少数与党である限りにおいては、拡張的な政策を志向する野党との連携は避けられず、新政権の政策は現政権と比較して財政支出が拡大することが想定される。誰が総裁になるかとその政策によってさらなる上振れが期待できる状況であると考えておけばいいだろう。
次ページでは、自民党総裁選外の株価にインパクトがありそうな材料を検証し、投資対象として有望な業種を考えてみたい。