6月21日は夏至。陽の気が最も多くなりますが、高温多湿の日本では、暑さよりも湿気が不快に感じる季節です。汗が乾きにくかったり、雨に濡れたり、家の中も湿気がこもったりすると、体にも「湿」がたまりやすくなります。すると、何となく重だるく、むくみや食欲不振、疲労感なども引き起こします。

 中医学には、五行説を体に応用した「五臓」の考え方があり、人の体も「心・肺・脾・肝・腎」の五つの「臓」に分けられます。それぞれが五行説の木=肝、火=心、土=脾、金=肺、水=腎の位置関係にあり、互いに促進したり抑制し合ったりする関係にあって、バランスを取っています。これは内臓を示しているのではなく、人の体の生理機能や症状などを表しています。

 そして、この時期、体にたまりやすい湿を最も嫌う臓は「脾=胃」です。脾には食物を消化吸収し、全身に送り届ける役割があります。湿が脾にたまるとその働きを阻害し、食欲が湧かない、何となく消化が悪い、体がだるい、疲れやすいなどさまざまな症状が出てきます。

 この季節の食養生のポイントはなるべく生もの(特に刺し身など)は多食せず、さらに冷たい飲み物も避けることです。胃の弱い方は意識して消化がよいもの、温かいものを選ぶようにしましょう。むくみなどが気になる方はトウガン、ハトムギ、小豆などの利尿作用のあるものがお薦めですが、体を冷やす涼性のものが多いのでショウガや唐辛子などの香辛料を一緒に取るとよいでしょう。また、ニンニクやタマネギ、ネギ、ニラなどには殺菌作用があるので、この時期にかかりやすい食中毒予防のためにも、毎食でも頂きたいものです。

 スポーツやサウナ、入浴などで体の巡りをよくして代謝を高めながら、余分な水分=湿を汗として排せつするのも一つの方法です。

●お料理ヒント
トウガンと鶏肉、ショウガのスープまたはカボチャのスープにナツメグやシナモンを振る。カツオのおいしい季節ですから、温性のネギ、ショウガ、シソ、ミョウガ、ニンニクなどの薬味類をたっぷり添えましょう。脾の働きを弱らせる脂っこいもの、甘いものは食べ過ぎないように注意。