日野“陥落” トラック大異変#4Photo:Simon McGill/gettyimages

日野自動車では、不正の責任を取る形で生え抜きの役員が辞任したが、トヨタ自動車出身の小木曽聡社長はその座にとどまった。この処分について、「トヨタが引き続き日野の面倒を見るという意思表示」との声が上がる一方、「今後トヨタの撤退もあり得るのでは」との臆測も飛び交う。日野はこれからどのような運命をたどるのだろうか。特集『日野“陥落” トラック大異変』(全5回)の#4では、トヨタとの関係性に焦点を当てることで、日野の再建シナリオを大胆に予測する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

日野生え抜きの役員4人が引責辞任でも
トヨタ出身の社長が残った理由とは

 2022年10月7日、日野自動車は認証不正問題への対応に関する記者会見を開き、経営陣に対する処分を発表した。

「本問題に対する当社の経営責任を明確化」するとして、日野生え抜きの役員4人が辞任した他、小木曽聡社長をはじめ、留任した役員も3~6カ月の報酬減額となった。さらに、過去の経営陣に対しても、不正問題への関与が指摘された元役員に対して、報酬の一部返納を要請している。

 今回の処分については、トヨタ自動車出身の小木曽社長が留任したことが一つのポイントだ。日野の顧客である、物流業界の関係者はこう語る。

「親会社のトヨタが小木曽社長を日野に残したということは、『トヨタが今後も日野の面倒を見る』という意思表示に見える」

 ところが、自動車業界ではさまざまな臆測が広がっている。「トヨタが日野から引き揚げるということもあり得るのでは」との指摘もあるのだ。もしそんなことになれば、日野のみならずトラック業界全体が大混乱に陥ることは必至だ。

 日野が恐れる「最悪シナリオ」とはどのようなものなのか。

 次ページでは、日野とトヨタとの関係性に焦点を当てることで、日野の“再建の行方”を大胆に予測する。