平成25年の税制改正で、相続税が大増税!そして増税もさることながら、相続にからむトラブルが急増中。しかし、実際に相続を体験する前は、どんなことがトラブルになるのかさえ、わかりません。新刊『新版 相続はこうしてやりなさい』から、相続専門の税理士が相続税のイロハを抜粋してご紹介します!

内縁の妻はNGだけど、胎児は認められる?
相続人になれる人、なれない人

 増加している「事実婚」相続の際は要注意!!きちんと手続きをしていないと、相続ができません。逆に、まだ生まれてきていない子や、認知された隠し子であれば相続人になれるのです。

 内縁の妻がいる方が亡くなった場合、内縁の妻には相続分があるのでしょうか?

 答えは「NO」です。

 内縁の妻とは、夫婦共同生活の実態がありながら、婚姻届を出していない男女関係にある女性を意味し、その実質は「妻」です。最近では事実婚と言われる籍を入れない形態も増えてきていますが、婚姻届を出しているかいないかによって、相続分に大きな違いが生じてしまいます。

 婚姻届を出していないだけで実質的には妻ですので、遺産を相続できなければかわいそうだという声もありますが、内縁の妻には相続分がないという事実は覆りません。ですから、この場合には別途遺言書を作成するなどの、生前からの準備が必要です。

 では、お母さんのお腹の中に赤ちゃん、つまり妊娠中にお父さんが亡くなって相続が発生した場合、胎児は相続人になれるのでしょうか?

 答えは「YES」です。

 民法上、胎児は、相続についてはすでに生まれたものとみなすと規定されています。このため、お腹に赤ちゃんがいる状況で、お父さんが亡くなった場合でも、お母さんのお腹の中にいる胎児は、法定相続人となるのです。 

 では非嫡出子の場合はどうでしょう。非嫡出子とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子のことを言います。

 答えは「YES」……但し半分になる、です。

 婚姻関係にない男女間に生まれた子どもは、認知されていれば相続人になれます。しかし、婚姻関係にある男女に生まれた子の相続分の半分になってしまうのです。

 ですから、たとえば子どもがいるお父さんが離婚をして、別の家庭を持ちますが、籍は入れていない場合があります。その現在の家庭、つまり内縁の妻との間に、子が生まれた場合、それは認知されていたとしても、法律では前妻の子の方が相続分が多いためモメる原因となります。離婚や再婚をした方は、生前からの対策や準備をしておくことをおすすめします。

では次のページでリアルな相続トラブルをみてみましょう。