別に源頼朝が偉かったわけではなく、状況が変わったんです。

──状況が変われば、価値観は一気に変わる、と。

 僕は日中戦争が開戦した1937年に生まれ、小学2年生のときに終戦を迎えた。生まれてからずっと戦時中で、終戦で世界が180度変わったわけです。
 
 僕より5、6歳上の人に「終戦をどう思いましたか?」と聞いたらみんな「助かった」と言います。自分はどのみち死ぬと思って覚悟していたが、戦争が終わって我に返り助かったと。今の人は、自分が死ぬかもしれないなんて思ったこともないでしょう。

人の力が及ばないものが
あることを受け入れよ

 今の社会の一番の問題は「人の力が及ばないものがある」という事実を嫌う人が多いことです。

 だから「地球温暖化は人為的だ」という意見が当たり前になり「太陽光パネルが増えたから雲が減った」とかいう意見も出てくる。

 なぜかというと、異常気象が人為的に起きたものならば、人が努力すれば問題を解決できると思えるからです。しかし実際は、何もできないことの方が多いのです。

 この前、デービッド・アトキンソン氏に久しぶりに会ったら、日本社会は30年前から何も変わっていないと言う。

 今起きている医療問題も福祉問題も制度を立ち上げたときから分かっていたことなのに、何も対策していないのはなぜだと。日本人は問題を考えないようにしているのかと言うわけです。

──若者たちは、未来を見据えてどう行動すればいいでしょうか。

 まずは近い将来大規模な天災が起きるということを受け入れ、その後の世界をどう生きていくかを考えておくべきです。政権は必ず変わるし、価値観はガラリと変わる。そのときに何が役に立つかは分からない。

 世界なんて本当に不安定なものです。

 世界の不安定さと、人生の不安定さが同じぐらいであると考えるのがいい。正解なんてないのだから、今やりたいことをとにかくやって、どこかで自分の役に立つ何かを身に付けていくしかない。