
関税の恐怖に怯えるな
過剰な恐怖は常に味方
関税は経済にとってネガティブな要素だ。だが、それ以上に人々が抱く「恐怖」が現実を上回っている。これは株式市場が回復するためのレシピでもある。
弱気派は「トランプ大統領の関税政策が、日本の自動車メーカーや世界の貿易全体に大打撃を与え、インフレをあおり、株価を暴落させる」と叫ぶ。そして、「2025年の米国および世界の株式市場の下落は、さらにひどい未来の予兆だ」とも言う。
だが、そうした恐怖はすでに、実態を大きく上回る規模で株価に織り込まれている。過剰な恐怖は、常に強気相場の味方だ。
理論は正しいが
理論は現実とズレている
関税を巡る米国人による悲観論の背景には、以下のようなロジックがある。

海外の輸出企業は関税コストをそのまま米国の消費者に転嫁する。
→するとインフレが再燃し、米連邦準備制度(FRB)は利下げができなくなる。
→その結果、消費が冷え込み、GDPも縮小する。
一方、日本などの他国は、関税コストを価格に転嫁できず、輸出企業の利益や輸出額が打撃を受けると懸念している。
たしかに、このロジックは理論的には正しい。そもそも関税は悪いものだ。関税は貿易摩擦を生み出し、勝者と敗者を恣意的に分け、不健全な需要を生み出す。
トランプ大統領の関税政策は愚かで、傲慢で、間違っており、破壊的ですらある。だが、あなたも私も、それはもう十分に知っている。彼の関心は米貿易赤字にしかないが、それはトランプ大統領が想像するような問題ですらない。現実はもっと複雑だ。