先週の総括

 先週の日経平均は米国シティグループのトップ辞任、民主党小沢代表の進退問題などを嫌気して小安く始まった。週央に小反発したものの力強さに欠け、週末にはサブプライム問題に端を発する欧米金融機関の業績悪化を理由に米国株が大幅安し、日経平均も急落した。

 結局日経平均は6日連続安の15583円で引けた。これまで堅調であった新興市場株、なかでもネット関連株が売られた。米国の金融株が急落したため日本でも金融株が冴えない展開となった。

今週の予報

商社:インフレ懸念の再燃により「晴」

 今週の日経平均は下値模索となりそうだ。先週はサブプライム問題がGMにまで波及し、投資家の不安心理を煽った。今週もサブプライム問題の波及度合いを見極めながらの神経質な展開となるであろう。

 最近は利益確定売りで下落しているが、商社株は2003年の日本株式市場の大底から最も上昇した業種群だ。代表銘柄である三菱商事を例に取ると、2003年4月の678円から今年10月の3750円まで約5.5倍上昇しており、日経平均の約2.2倍と比較するとその大きさがよくわかる。業績も2002年3月期の営業利益681億円から2008年3月期営業利益予想3850億円まで5.6倍であり、この株価上昇は決してバブルとは言えない。

 業績の内訳をみるとエネルギー・金属部門で売上げの半分近くを占めるが、この両部門ともに原油・天然ガス価格及び銅・アルミ価格など商品市況の高騰を受けて利益が膨らんでいる。

 また三菱商事の株価と日経商品指数17種との相関係数を計算すると0.93(相関係数は-1~1の範囲の数値であり、1に近いほど同じ動き方をする)であり、三菱商事の業績・株価を予想することは商品市況を予測することとほぼ同義である。

 商品市況の高騰は新興国市場の勃興という説明がされるが、実際は米国サブプライムローン問題によるFRB金利引き下げ→インフレ懸念→商品へ投機資金流入という構図がわかりやすいだろう。サブプライムの不透明感はしばらく払拭できないため、この流れは当面続きそうだ。

今回のポイント(まとめ)

 日本は資源小国であるため、インフレヘッジとなる銘柄はほとんどなかった。商社はここ数年海外の権益確保に動いており、資源高騰を予想する投資家にとっては欠かせない業種となるであろう。