Photo by Yoshihisa Wada
コニカミノルタで社長・会長を歴任した山名昌衛氏。現在はTDK、かんぽ生命保険、ゼンショーホールディングス(HD)の3社で社外取締役を兼務し、ダイヤモンド編集部が独自試算した社外取締役ランキングで58位に入ったプロ経営者だ。だが近年、ゼンショーHDやかんぽ生命で不祥事が発生した。混迷する有事の取締役会で社外取はどう対応したのか。そもそも業種も企業文化も異なる3社で社外取の兼務は可能か。特集『社外取10821人の全序列【2026最新版】熱狂バブルの落とし穴』の#12で山名氏に直撃し、その舞台裏を突く。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)
祖業カメラ撤退を決断した修羅場の経験
経営のプロが未経験の3社を監督する流儀
――現在、TDK、かんぽ生命保険、ゼンショーホールディングス(HD)の3社で社外取締役を兼務し、ダイヤモンド編集部のランキングでも58位に入りました(本特集の#1『最強の社外取締役は誰だ!【総合ランキング上位5000人】ソフトバンクG、日立、三菱UFJ…独自評価で「10821人」の最新序列を大公開』参照)。社外取として信頼されている証しと考えられますが、ご自身をどのように評価しますか。
各社からオファーを頂いた際には、必ず「どういう役割や貢献を期待されているのか」を直接聞くようにしています。そしてそれらの対話から、私に期待されている要素は三つに集約されると考えています。
1点目は、私が社長を務めたコニカミノルタにおいて事業のポートフォリオを大きく進化させ、祖業のカメラ事業からすら撤退する決断をした経験です。トップとして中核事業を大胆に組み替えてきた経験を踏まえた助言が求められているといえます。
2点目は、売上高の海外比率が約8割を占めるコニカミノルタでのグローバル経営の経験です。私自身のトップとしての行動の範囲内において、グローバル経営が中核にありましたから、その実戦経験への期待です。
3点目は、人材やテクノロジーといった非財務・未財務の力を引き出す経営の知見です。顧客に価値を届けるのは最終的に人材であり、その能力を引き出す実体験に基づいたアプローチが求められていると解釈しています。
――しかし、コニカミノルタと現在の3社は業種が大きく異なります。未経験分野を監督する難しさはありませんか。
社外取は、基本的には未経験の業種を担当するものです。もちろん、事業への理解を深めるために、相手の会社の事業所訪問を行ったり、ビジネスモデルの仕組みや競争環境のレクチャーを受けたりするなど、業界の認識を持つ努力が必要です。
もし特定の業界における高度な専門性が必要な局面であれば、例えばかんぽ生命の場合は生命保険会社での経験を持つ社外取を別途入れたり、執行側にアドバイザリーボードを設置して専門家を集めたりするなど他の方法で補えばよいわけです。
私に求められている最大の役割は、特定の専門性を超えた経営の要の監督です。それはすなわち、中期経営計画の策定時に「計画は何のために作るのか」を根本から問い直し、長期ビジョンの進捗をモニタリングすること。専門家としてではなく、「経営の執行力が足りているか」「足りなければどう手を打つべきか」を厳しく見極める役割が求められています。
――社外取に求められる重要な役割として、「外の目」による監視があります。2025年3月にはゼンショーHDが運営する「すき家」で店舗でのネズミ混入問題が発覚しました。社外取として不祥事対応やガバナンス体制をどう見ていましたか。
社外取締役は「外の目」として経営を監督する義務がある。では、予期せぬ不祥事によって企業の社会的信用が揺らぐ有事の局面において、彼らは執行陣とどのように向き合うべきなのか。ゼンショーやかんぽ生命での具体的な危機対応を巡る、山名氏と執行部との緊迫した議論、そして取締役会の知られざるリアルに次ページで迫る。







