滋賀銀行の“異例人事”が示唆する池田泉州・滋賀アライアンスの「熱量」、2年前とは一変した近畿再編機運の現在地Photo by Yasuo Katatae

近畿地方銀行の再編を巡る空気が、わずか2年で一変した。かつては再編済みのエリアとみられていたが、ありあけキャピタルによる複数地銀の株式大量保有などを契機に再編機運が再浮上。4月17日には、池田泉州ホールディングスと滋賀銀行が資本業務提携「池田泉州・滋賀アライアンス」を締結した。実はその熱量を読み解く鍵が、6月24日付の滋賀銀行の役員人事に隠されている。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』#20では、滋賀銀行の異例ともいえる人事を基に、両社のアライアンスに対する熱量や、近畿地銀再編の現在地を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

「再編決着済み」の空気が一変
滋賀銀行が放った役員人事のシグナル

 近畿地銀の再編を巡る空気が、わずか2年で一変している。

 2024年3月、マイナス金利が解除される直前まで、近畿地銀の間では、近畿での再編は決着済みとの見方が支配的だった。

 南都銀行の橋本隆史取締役会長(当時頭取)は、24年2月配信のダイヤモンド編集部の取材に対し、「アライアンスを組む必然性は、今のところ見いだせないのではないかと思う。それぞれのやり方で成果が出にくくなり、地元経済の縮小が進んでしんどくなって、それで初めてアライアンスを具体的に考えるようになるかもしれない」と語っていた(『南都銀行頭取に直撃、「大阪攻め」へ他行連携の可能性と世代交代の時期は?』参照)。

 京都銀行を傘下に持つ京都フィナンシャルグループ(FG)の土井伸宏社長も「メディアからは、余力を使ってFGの傘下に別の銀行を収めるのかとよく聞かれるが、それはFG化の目的ではなく、前提でもない」と話し、預金規模の拡大にも慎重だった(『京都FG土井社長が明かす「含み益8000億円」の使い道、他行買収の考えは?』参照)。

 近畿地銀がさらなる再編に消極的だった理由は、そもそも近畿では、京都銀行、滋賀銀行、南都銀行、紀陽銀行と、すでに1県1行が多いからだ。各行トップの関心も、再編より自前での成長に向いていた。

 ところが、その空気は一変した。

 南都銀行の石田諭頭取は、銀行同士の経営統合について「当然、選択肢の一つだ」と話す。京都FGの土井社長も、5月の決算会見で再編に前向きな発言をした。8000億円を超える含み益を抱える“金満地銀”までもが、再編への姿勢を転換しているのだ。

 背景にあるのは、銀行経営に不可欠なコストの増大だ。サイバーセキュリティー対策やシステム投資など、必要な固定費は膨らみ続けている。さらに、金利のある世界では、預金を中心とする調達サイドの規模の重要性が格段に増す。

 そこに割って入ったのが、地銀株を中心に投資するありあけキャピタルである。

 ありあけキャピタルは、近畿では池田泉州ホールディングス(HD)と滋賀銀行、隣接する東海では百五銀行、大垣共立銀行、あいちフィナンシャルグループ(FG)の株式を大量保有している。

 再編機運が近畿で浮上したのが、今年4月に発表された池田泉州HDと滋賀銀行のアライアンスである。再編観測も取り沙汰されるが、実は、このアライアンスの“熱量”を読み解く鍵が、直近の滋賀銀行の役員人事に隠されている。

 次ページでは、近畿・東海の地銀勢力図を示し、ありあけキャピタルを起点に広がる再編機運と、池田泉州・滋賀アライアンスに対する両社の熱量を読み解く。