「日中友好」を掲げる団体は、いろいろある。規模の大きなところでは、日本国際貿易促進協会(河野洋平会長)、日本中国友好協会(加藤紘一会長)、日中友好議員連盟(高村正彦会長)、日中協会(野田毅会長)、日中経済協会(張富士夫会長)、日中文化交流協会(辻井喬会長)、日中友好会館(江田五月会長)などがそれだ。

 日中関係の修復の糸口を掴もうと、「積極的なトップ外交」を展開するところもあり、今年5月には江田五月氏、野田毅氏が、また7月には加藤紘一氏が中国側の中国日本友好協会を訪問した。

民間交流も停滞

 中でも日本の一般国民にとって比較的身近な存在が、公益法人日本中国友好協会である。この団体は、日中国交回復から20年以上も遡る1950年に設立され、63年の歴史を持つ。現在の会長は、上述の通り、元衆議院議員で自民党幹事長も務めた加藤紘一氏だ。2008年7月から同団体の会長職を務めており、ホームページに綴られた会長挨拶にはこうある。

「わが協会は責任ある、広く国民的な団体を目指しています。これからは未来志向の“新しい交流”を模索しながら、民間の先頭に立つ決意の下で、日中関係、そして“日中友好”の面で日本を引っ張って参ります」

 実に63年という長い歴史がある団体だ。中国との間に太いパイプを築き、いざとなれば、その幅広い交流チャネルから最もふさわしい解決策をいかんなく発揮、さらには、個人レベルでは力の及ばない領域を補完しリードする―――。「長い歴史」とは、こうした深いつながりを暗示するものであり、また、上記メッセージからは、彼らが何らかの形で、日中関係の修復の糸口を掴んでくれる、そう期待させるものがある。

 だが、その活動をローアングルで見ると、受ける印象は同じではない。取り組みの最大の焦点は民間交流だが、ホームページ上の情報からはほとんど動きを感じ取ることができない。

 今年に入って行われた活動は、スピーチコンテストと訪中団の派遣の2つ。昨年は6つほどの活動が報告されたのみだ。それも9月以降はない。