こうすれば目立つ!という思い込みに
意外な落とし穴があった
Bの写真を見ると、一番大きな「55」という数字を含めた多くの文字が、白抜きになっていることに気づかれるでしょう。実は、かねてから広告業界では、「白抜き文字は、通常の文字に比べて、30%ほど読みにくくなる」と言われています。デイヴィッド・オグルヴィをはじめ、ジョン・ケープルズ、ロバート・コリア―らも、著書の中で述べていることです。
今回、デザインの関係で白抜き文字が多くなったのですが、実験の結果、白抜き文字の少ないAのほうが売れ行きがよかったということから、上記の説を私自身が身を持って体験したということになります。
以上の2点を踏まえたうえで言えることは、
「多くの人は、データよりも心を揺さぶられるキーワードでより購買意欲を掻き立てられる」
「一見、目立ちやすそうな白抜き文字だが、色の印象が強くなり、文字そのものは読まれにくい」
ということでした。
以前、書店員さんを対象に行ったセミナーで、より人の目を引くPOPを書くためのテクニックとして同様のお話しをさせていただいたことがあります。
例えば、恋愛小説のPOPを作成する際、単に「直木賞受賞作品!」と書かれているものより、「私も悩んでいるときに読んですごく元気をもらえました」と描かれているPOPのほうが、人はより心を動かされ、自分がこの本を読んだらどうなるかを、想像しやすいのです。そして、その結果、購買意欲がわくのです。