福田内閣が総辞職し、自民党総裁選がスタートした。福田首相突然の辞任表明については、様々な方が論じているが、私としては以前、この連載で論じた福田人事を「起点」にして、今日はこの辞任劇について書いてみたいと思う。

福田首相を「経験豊富」と
評価できる客観的データは無い

 まず、私は突然の辞任をした福田首相本人について書いてみたい。福田首相が辞任した時、TV・新聞などでは多くのジャーナリスト・評論家が福田首相を厳しく批判していた。しかし、私は少し福田首相が可哀そうな気がした。

 なぜなら、昨年9月に福田政権が誕生した時、同じ人たちが福田首相の「経験」と「安定感」を評価していたからだ。このジャーナリスト・評論家たちは、福田辞任を批判するならば、まず昨年9月の福田評とはなんだったのかを総括してからにしてもらいたいものである。

 「福田首相は経験豊富で安定感がある」という評価は、「福田首相をよく知るとされている人」による人物評だった。これは、いわゆる「消息筋」からの情報である。

 私はこの連載のコンセプトとして、「大物や消息筋に聞いた」というマスコミの取材手法と違って、一般に公開された情報のみを使って、それを政治学の手法で切ると唱っている。そこで、今日はまず、このコンセプトの一端を紹介することで、マスコミの手法の問題点を明らかにしてみたい。

 福田康夫という政治家を、「消息筋」の意見に頼らずに、誰でも見ることができる公開された情報を検証すれば、実は「福田首相は経験不足な政治家」であるのは、明らかなことである。

 例えば、自民党や福田さん本人のホームページから、彼の「履歴書」を確認してみると、次のことがわかる。