1月の発足後、株高で好業績をたたき出した。ただ、現物中心の取引は世界の潮流とは異なる。デリバティブの強化など取引の高度化と同時に、個人投資家向けのサービス拡充も求められる。

 滑り出しは好調だ。東京、大阪の両証券取引所の合併によって今年1月に新たなスタートを切った日本取引所グループ(JPX)。

 自ら東証に上場した同社の株価は、1月4日につけた3885円の初値から、4月11日には最高値の1万2250円にまで上昇した。1株を5株に分割した10月以降も、株価は2000円を超えて順調に推移している(図(1))。

 4~6月期の当期純利益は112億円。わずか3カ月で、2012年度の1年分の当期純利益129億円に迫る勢いだ。

 長年、ライバル関係にあった東阪両取引所の統合で、大きな相乗効果も生まれそうだ。

 というのも、年々進化する高速取引への対応や、システム障害を防ぐため、取引所は近年、巨額のシステム投資を迫られている。JPXも12年度の営業費用全体の4割に当たる244億円をシステム関連に投じてきた。

 だが、これまで東京と大阪で重複していた現物市場と金融商品先物市場を今年度中に統合することで、15年度には、対12年度比で約70億円、コストを削減できる見通しだという。

 取引所として国内でほぼ独占企業となり、コストも大胆に削減できる。だが、海外のライバルと伍していくには、道のりは長い。

 例えば、取引所に上場している企業の時価総額の合計では、JPXは世界で3位(図(2))だが、JPXという企業自身の時価総額を、上場している各国の取引所の時価総額と比べると、9位に甘んじている。なぜか。