ストレスフリーだから発想できる
1冊だけを使うことの恩恵は、単に便利なだけではありません。
「何を思いついてもここに書ける」
「どんな情報もこの1冊にある」
「この1冊だけ持っていればいい」
こういった安心感があると、心に余裕ができます。案件ごとに記入するノートを分けたり、メモを付箋や資料に書き込んだりしていると、「あのメモ、どこにやったっけ?」と不安になることがよくあります。たとえば、今日、面会する人との集合場所や時刻のメモなどが見つからなくて、通勤途中でポケットやカバンをまさぐって探す。このような経験は誰にでもあるでしょう。
こんな事態になるのは、情報を入力する場所がバラバラになっているからです。たとえば、打ち合わせで決まったスケジュールは、スケジュール帳に書いたのか、それとも、打ち合わせの資料に書いたのか、またまた、別のメモに書いたのか。きちんと記憶していないと、何を見て確認すればいいのかすらわかりません。
すぐに見つからないと、「間違って捨ててしまったのではないか」と不安になって穏やかではない。ところが、「1冊ノート方式」のシステムなら、このような不安は、はじめから感じずに済みます。
なぜなら、あらゆる情報は、1冊のノートに入っているからです。つまり、打ち合わせ中にノートを開いたなら、
・打ち合わせの内容
・打ち合わせ中に考えたこと
・参加者の発言要旨
・決定事項
・配布資料
などは、すべて同じノートに入っていることになります。だから、この1冊さえ読み返せばいいのです。家を出るときも、ノートを持っていることさえ確認しておけば、チェックしたいことは「必ずある」ことになります。何でもノートに入れておけば、「アレはあのノートに書いた」「あのメモをなくさないようにしておかないと」という緊張から解き放たれます。
また、「何を書いてもいい」というのも気楽です。自由にものが考えられます。僕は、考えがまとまらないとき、よくノート1冊だけを持って喫茶店に行きます。そして、思っていることをつらつらと、混乱しているなら混乱したまま書いてみる。無理に整理しようとはしません。それすら難しいときは、最近読んだ本の感想などを書いてみます。
書いていると、そのうち結局は何に悩んでいるか、何から手をつければいいかといったことがはっきりしてきたり、進まない仕事の完成型がイメージできるようになったりします。このように新たな発想を得るためには、リラックスして使えることも大切でしょう。