記入・参照の迷いはゼロ
情報を分類せず、1冊だけに入れるメリットとして、メモや参照のフットワークが軽くなることがあります。書くのも見るのも、とにかく速い。具体的に説明しましょう。
たとえば、職場から帰る電車の中で、明日、取引先でプレゼンテーションをするときに、絶対に忘れないようにしなければならない持ち物を思い出したとします。これはどこにメモしたらいいのか。「使用中のノートの続き」です。
家に帰ってくつろいでいると、奥さんが買った女性誌の中に「節電レシピがブーム」という記事を見つけました。なんとなく興味深かったので、奥さんの許可を取って破り取っておきます。この記事はどこに保管すればいいのか。「さっき書いたメモのあと」です。
ノートを出したついでに、パラパラめくって最近のことを振り返っていると、読書メモが出てきました。数日前に読んだ有名な戦略論の本です。その左のページには、ハガキが貼ってあります。取材協力したメディアの人からもらった「高齢の視聴者から多くの反響があった」という礼状です。
こういったものを見ているうちに、突然、急に明日のプレゼンで使えそうな言葉を思いつきました。
「そうだ、この言葉をキーワードに据えよう!」。これをメモするのは「さっき貼った記事のあと」ですね。翌朝、職場で今日のプレゼンの資料を最終チェックしているとき、「そういえば、昨夜、何かいい言葉が見つかったな」と思い出してノートを見れば、そこにしっかり書いてありました。
そのとき、同じページに書かれてあるのが、「明日、A社に新製品のサンプルを持っていく!」というメモです。忘れないように、すぐサンプルをカバンの中に入れて、プレゼンの準備を進めます。
このように、1冊だけを使うことに決めていると、記入も参照も常に一ヵ所に当たればいいことになります。どこに書くか、どこを探すか、一秒も考えません。
さらに、紙の辞書を引いたときのように、記入するときにまわりにある情報が目に入ってきます。このことによって、仕事で忘れてはいけないことのリマインダーにもなるし、日常生活で見聞きした気になる情報も発想のヒントとして活用できるのです。