いつでも・どこでも「1冊だけ」

 これでノートを使った知的生産の大まかな流れがわかりました。続いて、ノートをどう使うかを大づかみに説明します。この方式の第一歩は、1冊のノートに情報を「入れていく」ことです。

 まずは、仕事のアイデアから備忘録、本や映画の感想などの「メモ書き」。そして、上司から渡された伝言メモや会議のレジメ、新聞記事の切り抜き、雑誌広告などの「紙もの」。こういったものをすべて1冊に収録していきます。

 ノートに何か書き込んだり、他の紙に書いたメモや資料を貼り付けて収録することをまとめて、ここでは「ノートに入れる」という言い方をしています。今後、「入っている情報」などの言葉が出てきたら、メモ書きか貼った資料だと思ってください。

 仕事や日常生活で扱う情報は、何でもこのノートに入れます。具体的に、どんなものを入れるのか、僕が今使っているノートをめくってみると次のような情報が入っていました。

・業務日誌や日記としてのメモ
・打ち合わせや取材したことを記したメモ
・セミナーのレジメや内容メモ
・仕事で使った資料の切り抜き
・取引先からもらった手紙やハガキ
・アイデアを書いたメモ用紙
・新聞や雑誌の切り抜き
・本をコピーしたもの
・映画やテレビの感想メモ
・もらった名刺
・その他の紙もの……観光パンフレット、切符、半券、本の帯など

 これらのものは時系列、つまり日付に沿って並んでいるだけで、カテゴリ分けはされていません。小説のアイデアを記したメモのあとに、育児休暇制度の新聞記事があり、英語の勉強本の抜き書きがあったりする。小説ネタや勉強法についてだけのノートをつくったりはしません。

 こんなふうに情報を「ごちゃまぜ」に入れておいて大丈夫かと思うかもしれませんが、大丈夫です。いや「ごちゃまぜ」だからこそ、どんなジャンルの本の読書メモでも、どんな内容の仕事でも、何についてのアイデアだろうと、「どこに書けばいいのか」と迷うことなく、すぐさま1冊のノートに入れることができるのです。

 また、「ごちゃまぜ」でいいと割り切れば、あとで分類する手間も、複数のノートを持ち歩く必要もありません。会議室に「会議用ノート」を持ってくるのを忘れるといったミスもなくなります。仕事だろうと、プライベートだろうと、どんなときでも常に今使っているノート1冊だけを持ってさえいればいいからです。