11月30日の「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)を観ていたら、出演していた磯崎陽輔首相補佐官が重大な発言をした。
特定秘密保護法案の運用を監視する第三者機関を「検討して作る」と明言したのだ。たたみかけるように「約束する」とも「施行までにやる」とも言った。
こんな重大なことを彼が独断でするわけがない。きっと首相の了解を得てのことだろうと思った。
安倍晋三首相は26日の国会答弁ではかなり腰が引けていた。第三者機関の設置について「設置すべく努力する」とか「私は設置すべきだと考えている」などの答弁に終始していた。
「努力する」はきわめてあいまいで、「考えている」はそれ以下である。「努力したけどダメだった」で終わってしまう。
また「私は」という言葉には驚いた。政府でも内閣でもなく「私」だとすると、政府のトップであることを忘れた印象も受ける。
「私は設置すべきだと考えていたが他の人はそうでなかったから設置できなかった」ということになりかねない。
それが30日に突然補佐官の言うように変わった。おそらく、衆議院の採決を強行した後に、世論の大きな反発を招いたからだろう。
ただ、補佐官は、第三者機関は政府内へ設置するらしく、「完全な独立ではない」と言明した。要するに、第三者機関の設置は絵に描いた餅、1つの偽装であることを自ら明らかにしたに等しい。
一昨年の原発事故でわかった
「政府内の第三者機関」の無力さ
一昨年の原発事故は“人災”と言われるが、それは原発の安全性を監視する保安院などの安全行政が、業界と癒着して機能しなかったからである。その保安院と比べても、今政府が考えている「政府内の第三者機関」は一段と無力なものになることは目に見えている。
そんな第三者機関なら設置する必要はない。むしろ世論が厳しく監視するほうがまだましだ。