風は気まぐれだ。なんとも言うことを聞いてくれない。夏の暑い日に期待していると吹いてくれないのに、冬の寒い日には勢いよく吹いてくる。時には台風で人をいじめることもある。

  そんな気まぐれなやつと人間は結構仲良くしていこうとしている。風を利用した様々な道具がある。風車が生活を支えているところもあるし、風力発電所は増えている。

  美人は風とうまくやっている。仲良くしようと思っているようだ。美人には風が似合う。例えばCM。美人が強調される部分では、微風が美人の髪を揺らす。美人風だ。きっと撮影現場ではその美人風を必死でつくっているのだろう。

  しかし、風は厄介だ。現実にはその気まぐれに悩まされる。そもそも風とは何か。空気の移動。「空気というものは……」という理科の授業のような話になる。

  理科の授業といえば、子供の頃、学校の先生が「風はなぜ吹く?」という質問をした時に「鬼が袋から思いっきり空気を出すから」と言った友達がいた。たぶん、風神のことを鬼と言ったのだろう。いや、風神でも正解ではない。だが、風の原因を鬼だと思ってみることもいい。思ってみよう。思いなさい。

  鬼は意地悪だ。だから人間に意地悪をするのだ。外に出れば、鬼の被害に遭うかもしれないと思っておこう。せっかくセットした髪をぐちゃぐちゃにしたり、スカートをめくったりする。そして、「美人のもと」を吹き飛ばす。

  しかたがない。鬼には鬼の仕事がある。そうなると、もう鬼と仲良くするしかない。

  まず、鬼の存在を忘れない。天気のことは気にするけれど、風はあまり気にしない。それではダメだ。天気予報の風力まで気にする。

  そして、朝起きたら、自分で感じる。そして、鬼と仲良くするようにする。無理して鬼の機嫌を損ねない。たとえば、髪を乱すまいと思い、ガチガチに固めるとかえってひどい目に遭う。むしろ風が吹いても美しく見える方法を考える。どう利用するかだ。美人はそれを意識している。

  最後に鬼に感謝する。風によって自分が豊かな生活ができている。風は欠かせないものだと思うこと。そう思うだけで、自然と美しい顔ができていく。もともと風は「美人のもと」そのものなのかもしれない。