危機から脱した先にも、幾度の困難が待ち受けていました。誰もやったことのない、慣習や伝統をある意味壊すことも選択し、その中ではお叱りや批判の声もいただきます。それでもなお、なぜ私たちは前に進むのか。
それはひとえに「ああ、美味しい」のひと言を頂くためです。山奥の小さな酒蔵にとって、これだけは譲れない唯一の財産が、そのひと言なのです。
「変わることを恐れない」という伝統
だから、踏み出した道をどんどん進み、より大きな市場に出て行くほかに手はないと確信しています。「変えるべきでない伝統」は何が何でも守り抜き、一方で「大事なものを守り抜くために変わること」を恐れない。それが旭酒造の伝統です。パリ出店を控え、どんな世界が開けていくのか、楽しみで仕方ありません。
酒造りは本当に面白い。私には、酒蔵以外に取り柄はありません。
ただ一本道をひた走ってきたなかで、折に触れて感じたことや考えたことを、本連載でいくつかご紹介していきます。日本酒業界に限らず、海外をめざす地方企業の同志の皆さんや、広くメーカーの皆さん、日本酒ファンの皆さんなどに、小さな酒蔵の奮闘を、笑ったり怒ったり、時には共感していただいたりしながらお読みくだされば幸甚です。
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カネなし!技術なし!市場なし!
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