毎年、恒例となりつつある介護の特集。今回の特集で3回目となります。
タイトルは「介護地獄 脱出!」。
初回のタイトルは「介護地獄」でした。介護を必要とする人は今後、加速度的に増えるのに、施設の数は行政当局の“総量規制”により、それほど増えない。
将来、いわゆる“介護難民”の大量発生は必至で、このままでは家族には多大な負担が乗りかかってしまう……という啓発的な意味合いを前面に出した特集でした。
しかし今回は「脱出」の文字がある通り、現在、生じている介護の諸問題からいかに脱出するか、現在の介護の状況を理解して欲しい、今から将来の介護に備えて欲しい、自分の老後を真剣に考えて欲しい……などの思いを胸に、特集班は取材に当たりました。
構成は、「在宅編」と「施設編」に分けて編集してあります。
在宅編では、昨今増えつつある「男による介護」や「遠距離介護」の実態とその対策、老人ホームなどの高齢者施設には入らず、できる限り自宅で生活し続けたい人のための安価な自宅の改修法「200万円からできる“終のすみか”の作り方」を掲載しています。
また施設編では、“終のすみか”となり得る高齢者住宅の実態や選び方について、取り上げています。
たとえば、最近、急増している「高齢者専用賃貸住宅」、略して「高専賃」というものがありますが、ご存知でしょうか?
高専賃とは、果たしてどんな施設なのか、いわゆる有料老人ホームとの違いは何か、何故急増しているのか、問題点は何か……このような疑問に答えると同時に、あまり知られていない裏事情についても、取材して掲載しています。
一方、有料老人ホームですが、後悔しないための有料老人ホームの選び方のほか、昨今話題の絶えない合併や買収に関するレポート記事も掲載しています。
また、介護業界の低賃金と過酷な労働条件もしばしば話題となりますが、大手有料老人ホーム会社の施設長や職員の給料も掲載し、その実態に迫っています。
そして、忘れてはならないのが、恒例の「有料老人ホームランキング」。今回は前回の1001施設からさらに対象数を増やし、24都道府県、1556施設をランキングしています。
いずれにせよ、介護に関わる問題は、普段関心がなくても、突然必要性に迫られるものです。そんな時のために、お手元に置いていただければ、幸いです。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 山本猛嗣)