新年明けましておめでとうございます。私は、年末年始を東京で過ごしました。東京の元旦の青空は、本当に鮮やかな青でした。中国で長い間生活している私にとっては、中国では先ずお目にかかれない晴れ晴れとした青空でしたので、特に印象深いものでした。

 東京という日本の首都におけるこの青空は、経済と環境の両立への努力の結果として、積極的に評価していいのでしょう。この面では、日本は一歩も二歩も中国の先を行っているのだと思います。

 一方、経済の活力はあるけれど、混沌として、いつでもスモッグに覆われている中国。発展の段階、その特性の違う両国、新年はどんな展開、交わりをみせるのでしょうか。

共産党が情報を独占しながら
市場経済化を進めることの歪み

 さて、本題にはいりますが、その中国の発展にとって諸刃の剣となっているのが、共産党の一党独裁です。独裁による強権に基づき、自らの方向性をダイナミックに推進できるというプラスの側面があります。一方、マイナス面は、いうまでもなく、官僚の腐敗、社会の調整弁機能の弱さ、そして一党独裁と市場経済とが結びついた経済の歪みがあります。

 この内、「一党独裁と市場経済とが結びついた経済の歪み」は、我々ビジネスマンにとって非常に重要な視点であると思います。ここで「一党独裁と市場経済」を考える前に、そもそも、80年に改革開放が叫ばれるようになるまでの中国において存在した社会主義計画経済というものを見直してみると、この問題が分かりやすくなります。

 社会主義計画経済とは、共産党が情報を独占することが肝になります。共産党が絶対神であるがごとく、まずは、共産党と共産党員が情報を独占する。そして、市場の裁量ではなく、共産党員の恣意で全ての財が分配されるというのが計画経済なのです。何を言いたいかというと、現在の社会主義市場経済の「社会主義」の意味は、すなわち「情報の独占」ということです。情報の独占は、引き続き共産党が維持し、一方で市場経済を導入していることです。

 本来、市場経済の前提は、先ず情報の公開があり、公開された情報を各プレーヤーが享受したうえで、競争し、社会全体が発展するということであると思います。従って、社会主義市場経済は、同時に情報の独占が存在するという意味で大いなる歪みがあるわけです。中国のその歪みが、いたるところに噴出しているのが、現在の中国ということです。