「なにが問題なのか?」ズームイン!

 次に、「受身」の段階では、徐々に視界を狭くしていき、相手がこだわっていることに焦点を絞る必要があります。

 つまり、オーバービュー(俯瞰)から、クローズアップ(大写し)に切り替えて、課題を浮き彫りにするのです。「ズームイン」するといってもいいでしょう。

 そして、「捨身」の段階では、あえて視界を閉ざすぐらいの気持ちになることです。実際に目をつむるわけではありませんが、相手がごちゃごちゃ文句を並べても、聞く耳をもつ必要はないのです。

 このように、視界を調整するのは、「やるべきこと」をはっきりさせるためです。とくに、対応が難しいクレームに対しては、できるだけ行動を単純化する必要があります。話がこじれてきても、「やるべきこと」をシンプルな「作業」としてとらえることができれば、ずいぶん気が楽になるはずです。

 もっとわかりやすくいえば、「受身」の段階では、相手の要求に対して「できること」と「できないこと」を明確にします。そして、「捨身」の段階に入ったら、クレーマーには「できない」と結論だけを伝えます。相手の言い分を理解する必要もなければ、相手に納得してもらおうと努めることもありません。

 要するに、対応が難しければ難しいほど、「行動の選択肢」を狭めることが大切なのです。