「手を油で汚し、泥に足を踏み入れろ」

ハードウェアの逆襲が“泥臭く”始まる!<br />――「ソリッド2014」で見えた新しい潮流グーグルXのアストロ・テラー氏 Photo by N.T.

 グーグルの先端研究グループ、グーグルXのアストロ・テラー氏は、グーグルXは「物理的な製品とサービスを生み出すことが目的であり、未来におけるグーグルの変化を支える場所」だとした。つまり、ハードウェア世界においてもインターネットやソフトウェアのシステムが生存し続けることだ。同氏は、世界のハードな問題の多くは、依然として物理的な世界にあるという。

 同氏はまた、「これまで多く見られたソフトウェア開発は、スピーディーで開発費も安かったので金になるビジネスになったが、そのためそこへ人々が集中し、ソフトウェアで解決できない問題が多く取り残されている」と分析する。テクノロジー業界がソフトウェア偏重で歩み続けたことの揺り返しが、これから起こりそうだ。

 ただし、ハードウェアと言っても、従来の機械エンジニアリング、土木エンジニアリング的なアプローチではない、埋め込みシステムによる強度、柔軟性、耐久性が求められるようになるはずだという。

 そうした新しいハードウェア世界にチャレンジするグーグルXでの合言葉は、「手を油で汚し、泥に足を踏み入れろ(Find some time to do little bit more to get oil in your hands and soil in your boots.)」なのだそうだ。

 教育者でテクノロジー関連のコンサルタントを務めるキップ・ブラッドフォード氏は、ソリッド的世界が到来した暁には大きな経済的変化が起こると予測する。相互につながったモノによるエコロジーが形成され、それらがスムーズに全体として動くようになった時代のことだ。デジタルテクノロジーやインターネットは従来の産業や経済を破壊したが、それに続く大きな波がソリッドというわけだ。

ハードを複雑にしてはいけない
単純なセンサーでも役に立つ

 注目されるスタートアップも登場した。

 リトルビッツは、60あまりのコンポーネントをつなげることで、1つのシステムをつくる製品群を開発し、ロボット関係者やオモチャ関係者に人気がある。同社創設者のアヤ・ブデアー氏は、「IoT時代になっても、われわれは依然としていろいろなものがうまく機能しない時代に生き続けることになる」と言う。確かに、ソフトウェアがうまく操作しないとか、インターネットにつながらないとか、そういった完全でない環境を、われわれは受け入れるようになっている。

 ただ、同氏はその原因の1つは、専門家が複雑なものを作りすぎることにあるとし、ハードウェアをもっと民主化することが必要だと語った。

 同社の製品は、センサーやモーターなどの単純、あるいは複雑な機能を持つコンポーネントを、ユーザーが組み合わせて役に立つシステムをつくることを可能にする。たとえば、会社のトイレが満室かどうかを表示するサインをデスクから見られるしくみを、これで作ってしまった人もいるという。

「IoT時代に、すべてのモノが複雑なコンピュータである必要はない。ダムセンサー(単純なセンサー)で十分用を足すケースはたくさんある」という同氏の指摘は鋭い。

ハードウェアの逆襲が“泥臭く”始まる!<br />――「ソリッド2014」で見えた新しい潮流リトル・ビッツの製品