農協は農産物流通、資材供給、金融といった農業に関するサービスを包括的に提供しているが、時にそれらが過度に一体化して弊害を生んでいる。現場に耳を傾けると、「農協の口座で決済するために、農協から資材を買わないといけない」、「ツケ払いで資材購入したので、販売単価は低いが農協経由で出荷しないといけない」といった不満が聞かれる。極端は例では、企業と直接取引を始めたら、農協から資材供給を断られた、という話もある。農家を丸抱えすることで農協の収益は増加するが、それは必ずしも農家のためにはなっていないのが現実だ。

 農家の事業活動の自由度向上のためには、農協の過度に優位な地位を改めるべきである。農協はそもそも農業者の互助的な組合として設立されたものであり、農業者のための組織である。しかし、現実には力のある個性的な農業法人と対立したり、企業の農業参入に反対してきたケースも散見される。農業者のために組成された組織が、なぜ農業者の活動を阻害してしまったのか。農協は本来果たすべき役割を再度見つめ直さなければならない。

農業先進国・オランダに「日本型農協」はない

 地域の農業インフラとして、農協の持っている実力を遺憾なく発揮してもらうことが、日本農業の活性化には重要だ。農協のあるべき姿を探るため、参考例としてオランダの農業を取り上げる。農業先進国として注目されるオランダは、農産物の輸出がアメリカに次いで世界第2位である。オランダには日本型の包括的な農協は存在しない。代わりに、各機能ごとに独立した組織が存在し、農業者の事業活動をしっかりとサポートしている(図表2)。

(作成)日本総研
拡大画像表示

 オランダでは小売企業の寡占化の進展により卸売市場が役割を終え、解体されている。集出荷機能に焦点を当てると、オランダでは規模の大きな農業法人は集荷・選別・出荷施設を自ら所有し、また中小規模の農業者は民間のパッケージング企業に作業委託している。日本の農協の集出荷施設を単体で切り出したイメージだ。

 また、日本の農林中金・JAバンクに当たる農業金融機関として、ラボバンクという民間金融機関が活躍している。農業者の多くがラボバンクから資金を借りているが、ラボバンクは資材メーカーや販売先とは無関係であり、ラボバンクからの融資が、農業者の事業活動を制約することはない。他にも、公的農業試験場の指導員は民営化されて農業技術コンサルティング企業となり、有償できめ細やかな指導を行い、農業者から高い評価を得ている。

 オランダ農業は、日本においても農協の各事業を丸抱えせず、独立させてそれぞれの価値を高めていくべきだということを示唆している。つまり、各農家が自らの生産品目や経営規模などに応じて、最も合理的な組みわせを選択できるようになっているとも言える。