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「デジタルな日常」を生きる

デジタルをふんだんに生かしたレストラン
トリニータで考える

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第20回】 2014年8月5日
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 これらの企業は日本にも進出している。Squareは日本でも、カード決済加盟店の審査のプロセスをスキップし、端末や回線のコストを大幅に下げた。しかし日本自体が少額決済をカードで行わず、貨幣と電子マネーが普及している現状に悩んでいる。

 OpenTableは、日本でのフィールドワークを敢行するなど、飲食店の種類が多くレベルが高い日本のレストラン事情を理解すべく、努力をしている。日本では予約しなくても入れることも、その店を贔屓にする尺度になっていると分析するからだ。都市によって存在する問題が異なっており、また同じ問題を発見しても、文化や慣習の違いから人々が異なる行動パターンを見せる。

 モバイルやローカルの世界においては、国際的に共通項を持つ問題を見出すことが難しいのだ。

日本のサービスを積極活用、
埼玉県新座市のイタリアン

埼玉県新座市、志木駅から徒歩7分の場所にあるイタリアンレストラン「トラットリア・トリニータ」。トリニティ本社と併設される形でオープンした Photo by T.M.

 埼玉県新座市、志木駅近くに今年オープンした「トラットリア・トリニータ」は、前述のようなモバイルやクラウドのサービスをふんだんに生かしたイタリアンレストランだ。同店をオープンしたのはスマートフォンやタブレットなどのアクセサリ開発・販売を手がけるトリニティ。飲食業参入は初めてだった。

 きっかけは2つあったという。会社始まって以来のカルチャーとなっていた、社内で調理して食べるランチが、社員の増加で手に負えなくなってきたこと。そして社員で贔屓にしていた地元のレストランの閉店を知ったことだった。そこでシェフと相談し、トリニティの建物の倉庫だった部分を改装して、レストランを作った。

 同社には検証用のiPhoneやiPad、iPod touchなどがたくさん眠っており、飲食店でよく見かけるオーダー用やレジの専用端末を購入せずにレストランの環境を整える試みを行ったという。

 前述のSquareでクレジットカード決済を行えるようにし、予約システムには「トレタ」を採用。また、注文をiPod touchで取るシステムには「Waiter」を、更にWaiterと連結できる店舗向け会計システム「スマレジ」を利用した。

予約管理システム「トレタ」の画面。ちなみにお店に据え置かれている端末は、Squareのスタンドに装着されたiPadが1台で、勤怠管理も予約管理もお会計も、このiPadでアプリを切り替えながら行っていた。確かに、複数の端末がある必要はない Photo by T.M.

 専用端末を購入する必要がないばかりか、これらのサービスはクラウドとアプリで動いており、端末を買い換えなくても機能追加やプラン変更による拡張が可能になる。そして初期費用や月額の利用料金も無料もしくはそれぞれ1万円程度と低価格で揃えることができる。

 そして、毎日閉店後や、毎月末の締め日に紙での集計を行っていたいわゆる「店長業務」も、クラウド上に蓄積されたデータの確認だけで済ませられるようになった。運用面の効率性の高さも魅力的だ。トリニティ自身が飲食店の経験がないからこそ、最新の方法で、効率的な仕組みを組むことができたと話す。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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