生活者にとっての「エネルギー自由化」とは何なのか。そこで浮かびあがる「新しい価値」とは何なのか――。

 そこをできる限りクリアなものとして描き出すことが、いま「エネルギー自由化」について最も語られていない部分を補うことになるのではないかと私たちは思っています。

「エネルギーをマーケティング」と
「エネルギーでマーケティング」の意味

 エネルギー自由化は、間違いなく生活者に「新しい価値観」をもたらします。それは単にエネルギー業界に属する企業だけではなく、幅広い業界のさまざまな企業にとって無視できないものとなるでしょう。

「新しい価値観」は、突き詰めると次の2つの言葉に収斂されると思います。

「エネルギーをマーケティング」と「エネルギーでマーケティング」。

「エネルギーをマーケティング」とは、電力やガスそのものにマーケティング戦略を導入すること。規制されていた市場が、自由化されることは、競合環境に置かれるということになります。その時、規模や供給源など、それぞれの企業の特徴に応じた「エネルギーの商品化」が行われます。

 たとえば1980年代の「通信の自由化」により、今までになかったさまざまなサービスや料金プランが生まれたことを想像してみるとわかりやすいかもしれません。

「エネルギーの自由化」においても、たとえば、生活時間に合わせたメニューや、定額パッケージ、ガスと電気のセット売りなどこれまでになかった商品(サービス)が生まれると思われます。

 また、「他社製のエネルギー」との差別化を図るという意味では、電源そのものに付加価値をつける動きも出てくるでしょう。たとえば、沖縄で作られた電力に、沖縄の海の保護のための寄付をつけて「美ら海電力」として販売すると、沖縄の海好きの方は購入するかもしれません。

 このように、エネルギーを供給する企業が、「自社製のエネルギー」のマーケティングに取り組むことは、エネルギー自由化後に、真っ先に取り組むべき課題と考えています。

「エネルギーでマーケティング」とは、ある企業の商品やサービスが提供されるにあたり、使用したエネルギーの特性によって商品やサービスそのもののブランド価値を作るということ。つまり企業のエネルギー選びのセンスが、新しい価値観をつくり、新たなビジネスにつながる商品開発やサービス開発となるのです。