国によって憲法の役割や捉え方は異なります。しかし、現在の憲法において、改正のハードルを下げることは、実際上、指示書を出す国民の力を弱めることになります。それはすなわち、権力に人権を保障するよう求める力を弱めることにもなることを意味しています。まずは、そのことを知っておかなければなりません。
憲法は「人権保障の仕組み」である
さて、憲法の本質としてもうひとつ知ってほしいことは、憲法の規定全体が「人権保障の仕組み」として働くことです。なるほど、三権など国を治める基本的な仕組み(統治規定)も憲法では定められていますが、これらを「効率的に国を動かす仕組み」などと理解していたら、とんでもない誤解です。
憲法の最大、唯一ともいえる目的は、「人権を守ること」です。国の統治の仕組みも「人権を守るための仕組み」として作られているのです。
一番、知られているところでは「三権分立の仕組み」でしょう。思い出してみてください。「立法、行政、司法のけん制から権力の濫用を防ぎ、国民の自由を守る仕組み」なんて学校でならったはずです。憲法の条文を学ぶには、どの条文であれ「どのような形で人権保障に役立つか」という大きな視点なしでは行えません。
そこで、次回は人権に関する2つのテーマ(表現の自由と生存権)と統治に関するひとつのテーマを選んで、人権を守るという大きな視点からその意味を考えてみたいと思います。
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