「それは瑕疵担保責任を問われますよ」 こんな言葉をビジネスの場でスッと言うことができたら、「これはうかつなことは言えないぞ」と相手はあなたを手強い相手だと思うはず。
法律用語は、使い方次第で知性や教養を演出するだけでなく、商談や交渉といったビジネスシーンでの心強い武器になるのだ。
今回は、ビジネスによく効く8つの法律用語を紹介する。うまく使いこなせれば、説得力、交渉力が高まることは間違いなし!

日常では使わないからこそ、その効果は抜群!

 ビジネスの場はもちろん、日常生活の会話のなかでも、法律用語がスッと出てくる人を見ると、知性や教養を感じてしまいます。それが商談、交渉といったビジネスの場であれば、「これはうかつなことは言えないぞ」と相手に手強さのようなものさえ感じてしまうでしょう。

 今回はそんな「よく効く法律用語」をご紹介したいと思います。まずは、法律の世界では頻繁に使いますが、日常では使わない法律用語です。それだけに効果は抜群と言えるでしょう。

(1)「瑕疵(かし)」

 キズ、何らかの欠陥のことをいいます。瑕疵は、法律上、「何らかの欠陥」という意味で使われます。具体的な使われ方はいろいろありますが、騙されたり、脅されたりして(詐欺または強迫により)、意思表示が行われたときには、その意思は「瑕疵ある意思表示」であるといいます。

 たとえば、単なる古いネズミの人形なのに、「レアなミッキーマウスの人形だよ」と騙されて、「それください」と言ってしまう場合です。

「その人形がほしい」という意思はあるのですが、健全な意思ではなく、騙されてキズがある意思です。ですから、この意思は「瑕疵ある意思」ということができます。

 また買った物に隠れたキズがある場合には、その責任を売り主に求めることができますが、この責任のことを「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」といいます。家を買ったら雨漏りがした。これはまさしく家の瑕疵です。

(2)「要件(ようけん)」

 備えておかなければならない条件のことを要件といいます。たとえば、年金の「支給要件」といえば、その年金の支給を受けるために備えておかなければならない条件のことですし、「対抗要件」といえば、主張を通すために備えておかなければならない条件のことです。

(3)「欠缺(けんけつ)」

 欠けていることを欠缺といいます。「意思の欠缺」といえば、意思がない(欠けている)ことです。たとえば、売る気もないものが「売ってあげる」といったり、買う気もないものが「買おう」という場合には、まさに意思の欠缺が見られます。また、「登記の欠缺」とは、登記がされていない(欠けている)ことを指します。