上田 居酒屋タクシーや官製談合をめぐる問題で、国土交通省の現役局長が逮捕されるなど、官僚の体質が問題視されています。今年6月には「国家公務員制度改革基本法」が制定されましたが、果たしてこれですべて解決できるのか。今回は「官僚のあり方」について、考えてみたいと思います。
談合事件を起こすのは、
ほんの一握りのキャリアたち
上田 まずは「国家公務員」についておさらいしましょう。公務員の数は、全国で約30万人。そのうち、天下り問題でよく登場する「キャリア」は国家公務員試験1種に合格した人たちです。その割合は、公務員全体の約1万5000人、およそ5%にしか過ぎません。つまり、ほんの一握りのエリートが強大な力を持っているという状況なんです。
こういったキャリア官僚による「官製談合事件」が、毎年のように起きています。2005年の「橋梁談合事件」、その翌年2006年の「防衛施設庁談合事件」、そして2007年「緑資源機構談合事件」と続き、今年2008年「北海道開発局談合事件」などが有名ですね。
たとえば、2005年の「橋梁談合事件」は、国と当時の道路公団が発注する鋼鉄製橋梁の受注において、橋梁メーカー47社が受注金額を調整していたという事件。日本道路公団の役員や橋梁メーカーに天下っていた国土交通省OBが関与しており、談合による工事費の総額は、およそ2300億円にも上りました。なぜこんな事件が相次いでいるのでしょうか。
竹中 やはり官僚組織の談合体質の根深さが原因でしょう。こんなアンフェアなことが堂々と続けられていることに対して、国民の怒りは爆発寸前です。談合には、多くの「ムダ」も隠されています。国は通常より高い値段で発注しているわけで、その費用は国民の税金から出ていますから。