資本主義を一気に開花させた原動力「産業革命」

 産業革命は、イギリスで18世紀半ばから19世紀半ばにかけて起こった、生産技術の急激な発展と、それに伴う社会の大変革だ。イギリスの得意産業は、初期が毛織物、その後が綿織物だから、産業革命もその分野(繊維産業)から始まった。

 つまり、飛び杼(手織機に糸を自動的に通す道具)を発明したジョン・ケイや、紡績機(綿や羊毛から糸をつくる道具)に大幅な改良を加えたハーグリーブズのジェニー紡績機、クロンプトンのミュール紡績機、アークライトの水力紡績機などだ。

 これらが生産を工場制手工業(マニュファクチュア)から「工場制機械工業」に変え、さらにそこに18世紀終盤からワットの蒸気機関が加わり、19世紀中盤からはそれを応用した鉄道や蒸気船などの交通革命も加わったことで、より幅広く、よりパワフルに、より全産業的に、産業革命は広まっていく。

 この産業革命を支えた資本家は、富裕な市民階級「ブルジョアジー」だ。彼らの出自は地主だったり独立自営農民だったり手工業者だったり商人だったりとさまざまだが、おおむね共通して、重商主義と東インド会社を嫌った。

 当然だ。王が偏ったえこひいきなんぞするせいで、せっかく自分たちが生産技術を磨いても、発揮する機会すらなかったんだから。監督が「観客動員数のため」とか言いながら、話題性と人気だけのピッチャーばかり起用したら、チーム内の全員から、その監督と投手が嫌われるようなもんだ。

 でもそれも、17世紀にあった二度の市民革命(清教徒革命と名誉革命)で絶対王政が打倒され、終わった。これで王とつるんでいた勢力は没落し、いよいよ資本家は自分たちの時代をつかんだ。

 彼らはその後、飽くなき探求心で、機械に改良に改良を重ねた。そのおかげで機械は、どんどんと発展した。ここから生産技術の向上が飛躍的に進み、イギリスは新興の資本家階級を中心とする資本主義社会へと移行していく。