もう1つ、お金持ちになるためには、格好をつけてはダメだ、ということも強調されている。いい人だと他人に思われたいという欲求や名誉欲などの別の欲望が金銭欲を上回ることがあるようでは、お金持ちへの道は遠い。これもまったく、そのとおりだろう。ただ、その人なりの「いい格好」をしたいという欲求は、そう簡単に抑え込めるものではない。「おカネがあることが格好のいいことだ」と思い込めるような、金銭欲への純粋さがある人が強い。消費については、単純にケチなのがよいわけではなく、ある種の消費(分不相応な住居やクルマ、装身具など)が、金銭力を肯定し高めるものとされている点は、面白かった。成り金趣味にも効用があるらしい。

 こうしてお金持ちになる性格を考えてみると、かつて、あるベンチャーキャピタリストから聞いた、上場に成功する起業家の性格の5条件が思い出される。五条件は「わがまま」「純粋」「せっかち」「ケチ」「助平」だった。これらは、最後の1つを除いて、荒木氏の指摘とほぼ完全に一致する。

 最後の点について補足しておこう。思うに、男の社長が女性に熱中しても案外会社は傾かない。しかし、社長が「男」に入れあげると会社は危ない。この場合、「男」とは、政治家や役者、スポーツ選手のような人びとだ。1人の男が、女性に使うおカネはたかが知れているが、タニマチ的な支出はケタが大きくなることが多いし、支出に見栄が絡むので止まりにくい。

 それにしても、お金持ちへの道は遠く険しい。