日本のウイスキーはそのスコッチウイスキーを手本にしています。かつて日本のウイスキーは紛い物だといわれていたし、実際そうでしたが、現在の評価は高く、ウイスキーマガジンのブラインド・テイスティングでも常に高評価を獲得し、今年の「世界ウイスキーアワード(WWA)2014」においても、ニッカウヰスキーの『竹鶴17年ピュアモルト』が“ブレンデッドモルトウイスキー世界最優秀賞”を受賞しています(ある記事によるとニッカのウイスキー輸出量は2006年から2012年のあいだに18倍になったそうです)。

日本のウイスキーの味を作る
2つの重要な要素とは?

NHK朝ドラの主人公「マッサン」は<br />なぜ本場じゃない日本で高品質ウイスキーを作れたか「日本人の繊細な味覚」と「日本の風土」が世界から愛される日本のウイスキーを生み出している

 ジャパニーズウイスキーの特徴は蒸留所とメーカーが同じで、他所のところから原酒を買ったりしないこと。スコッチはたとえライバル会社であっても原酒を融通することがありますが、日本ではそうしたことはおこなわれていません。つまり例えるならば、サントリーが所有する蒸留所の酒を、ニッカが使ったりはしないということです。そのため日本の蒸溜所では様々な個性の持つ原酒をつくり、寝かせています。様々なパーソナリティを持つ原酒を製造できることは、技術者の熟練度が高い証拠だそうです。

 僕が考えるに、日本のウイスキーの味を作っている要素は大きく分けて2つあります。それは『日本人の繊細な味覚』と『日本の風土』です。

 『繊細な味覚』というのは別に日本人の味覚がその他の民族よりも優れていると言っているわけではなくて、繊細なニュアンスを好むということです。

 先ほどブレンドが肝だと述べましたが、ブレンダーは原酒を組み合わせていくことで、味をつくっていきます。例えばジャパニーズウイスキーは『角がなく』『バランスがとれていて』『滑らか』という評価を受けていて、お手本にしていたスコッチウイスキー特有の『燻製のような』香りは抑え気味のものが多いです。重厚さがないために時に力強さがないと悪く言われることもありますが、その繊細さが日本のウイスキーの味の特徴になっています。

 2つ目の要素『日本の風土』とは、まず酒造りの命である水です。日本の軟水から中硬水の水で仕込むと、穏やかな風味になると言われています(硬水で仕込むと香りが強く出るそうで、このあたりは料理とまったく同じです)。