「生活保護だから良い物件に住める」はない

 資料22ページ~23ページに、「現在の住居への入居と福祉事務所との関係」という項目がある。約8万7000世帯を対象に、生活保護の利用を開始したことと住環境の関係を明らかにしたものだ。

 まず、生活保護を利用する以前から、現在と同じ福祉事務所の管内に居住していたケースでは、48%が生活保護の利用以前から住んでいた物件に引き続き居住していた。この背景として最も考えやすいのは、

「失業などの理由により、生活保護を利用せずに経済的自立を維持することが困難になり、その物件に居住したままで生活保護を利用し始めた」

 である。もしかすると、他に

「生活保護の利用を開始すると、アパート探しが困難になったり家賃の上積みを求められたり不利な状況に陥るので、最後に貯蓄をはたいて現在の物件に入居し、その後、生活保護を申請した」

 など、低所得層が直面しやすい住の困難を反映しているケースも多く含まれているだろうとは推察するが、背景の詳細は公開されている資料からは読み取れない。

 また、25%は、生活保護の利用を開始した後で現在の住居に転居している。この背景としては、「以前の住居の家賃が高額すぎるので、福祉事務所に転居を指導された」「脱法ハウスなど劣悪すぎる住居に住んでいたので、福祉事務所に転居を指導された(支援者の支援のもと、転居を申請して許可された)」「障害や傷病により、それまで住んでいた住居で生活を営み続けることが不可能になったので、福祉事務所に転居を申請して許可された」などが考えられる。調査結果によれば、転居の理由として多いのは「家主に立ち退きを要求された(16%)」「家賃が高額だったため転居を指導された(12%)」である。

 いずれにしても、生活保護を利用したまま転居するのであれば、住宅扶助の上限額以上の家賃の物件に入居することはできない。また、特に複数世帯では、敷金・礼金などの初期費用の問題も発生する。転居に際しての一時金を申請することは可能だが、世帯人数に応じて十分に増額されるわけではないからだ。

 この調査結果からは、

「生活保護なので、好条件の住まいに住めるようになった」

 という事実は、「路上生活から生活保護申請」「ネットカフェから生活保護申請」といったケースを除き、一般的には見られないということが読み取れる。

劣悪、危険なまま放置していいのか
「健康で文化的」からは程遠い生活保護の住

 今回の基準部会の資料から、ぜひ認識しておくべき実態を、最後にもう一点紹介しておきたい。

 資料27ページには、生活保護利用者たちの住居について、間取り・広さ・構造・設備などを集計した表がある。

 まず、住宅の建て方(表8-2)によれば、共同住宅が全体の69%を占める。住宅の構造では、木造が全体の46%を占める。これは非木造の45%と大差はない。いずれにしても、

「単身の生活保護利用者は、1Kか1DKの木造アパートかワンルームマンションに住んでいることが多い」

 という筆者の実感と大きな違いはない。