「弱い立場の人」が
捨て身になったときは恐い
逆に、立場の弱い人を敵に回すと怖い。
ある人からこんな話を聞きました。
彼の会社には、実力があると評判の課長がいました。しかし、たしかに仕事はデキるのですが、進め方がかなり強引でした。派遣社員やアルバイトをぞんざいに扱い、無茶を強要する。相手が嫌そうな顔をすると、クビを匂わせる。そういう人だったのです。
そんなある日のことです。会社が転職サイトで人材募集を始めました。そのサイトには、転職志望者の参考にすべく、在職経験者が社内情報を書き込むコーナーが設けられていました。そこに、驚くべきことが書き込まれたのです。
「○○課の○○課長はパワハラをしています。契約解除をちらつかせながら、派遣社員やアルバイトに残業を強要して、その手柄を全部自分のものにしているのです。あのような人物を課長にしている会社だということは知っておいたほうがいいですよ」
社内はざわつきました。上層部はすぐに課長の仕事ぶりを調査。その実態を把握したうえで、しばらくしてから降格させました。
匿名での書き込みでしたが、「おそらくあのアルバイト・スタッフだろう」と噂されたそうです。しかし、彼は平然と出勤を続け、次の契約更新の際に退職しました。もともと退職覚悟の行動だったのでしょう。アルバイトは正社員とは違って、いつでも辞めていいと思っているケースが大半です。だから、手加減もしない。もっとも弱い立場の人が捨て身になった時ほど怖いのです。ネット社会になって、その傾向はますます強くなっています。
社内でもっとも弱い人々──。
実は、彼らがあなたの命運を握っているのです。