セクショナリズムに陥った組織では、
思考が偏向する

 とはいえ、現実には、課長も政争の影響を受けざるをえません
 たとえば、部署ごとに派閥化して、互いに排他的・敵対的な関係にあるような場合には、その部署に属しているだけで「政治的な立ち位置」を背負わざるをえません

 しかも、このようなセクショナリズムに陥った組織では、自分の部署の“党派的”利害や権限に固執する結果、構成員の思考が偏向しがちです。自分の部署にとって都合の悪い事実から目をそらしたり、ときには会社全体の利益よりも自分の部署の利益を追求し始めることもあります。そして、課長にも部署の利益に沿った言動が強く求められるのです。

 やっかいなことに、このような部署では強い同調圧力がかかります。ときには、身内のなかに敵が生まれることもあります。他部署とフランクに付き合おうとするだけで、それを「裏切り行為」として非難するような人物が現れることがあるのです。

 そのような反発を受けて、部署内で孤立しないためには、ある程度「派閥の論理」を踏まえて行動するのが現実的対応といえます。しかし、ここに「落とし穴」があります。「セクショナリズム」に順応しすぎると、大きな禍根を残すおそれがあるのです。

 中堅メーカーに在籍している村上さん(仮名、43歳)は、その「落とし穴」にはまったひとりです。