人は、何らかの状況に出くわしたとき何が起きていのるか理解できないと納得できず、次の行動に移れないところがある。逆に言えば、いつ襲って来るかわからない巨大地震を理解し、実際に起き得るものとして意識していることが、災害時に適切かつ素早い行動を可能にし、命を守ることにもつながるのだ。

 NHKは、「災害対策基本法」で報道機関として唯一、指定公共機関に定められ、大規模な災害が起きたときは、被災者の生命と財産を守るため、防災情報を正確・迅速に伝える責務を負っている。我々は、さらに災害発生時だけでなく、日頃から災害が起こる可能性の有無や、想定される被害、起こったときの対策などを検証・予測し、放送していかなければならない。命を守るために、平時こそ災害に関する情報を積極的に発信していきたい。こうした使命感もあった。

 9月に放送した「巨大災害 MEGA DISASTER~地球大変動の衝撃~」シリーズの第3集「巨大地震 見えてきた脅威のメカニズム」では、3.11巨大地震について明らかになった事実に加えて、地球規模のスケールで見た場合、巨大地震がどこで、どんな仕組みで起きているのかを紹介した。

 取材の過程で新たに明らかになったことで、今後の地震の予測に大きく役立つことが期待されるものとしては、「プレートの山の存在」と「水が地震に関係している」ことがある。最新の研究を紹介しながら、巨大地震のリスクをお伝えして行きたい。

なぜ過去100年間で一度も地震が
起きなかった場所が震源だったのか?

 そもそもNHKでは、地震については東日本大震災以前から巨大地震 MEGAQUAKE」シリーズを放送するなど、様々な番組で放送してきた。

 東北沖で発生する地震については、5年ごと、あるいは10年ごとといった一定の間隔で、同じ場所を震源とし、同じような規模の地震が起きていることが明らかになっていた。地震発生のメカニズムは、海溝型地震では強く固着した断層面が、あるとき急激にずれて地震波を出すというもので、その震源は「アスペリティ」と呼ばれている。そうした震源の研究から、次はどこでどれほどの規模の地震が起きるか、将来の地震発生がある程度は予測できるようになってきたと考えられていた。

東北沖の日本海溝付近の海底地形(高さ方向を強調)。右側が沈み込む太平洋プレート

 しかし、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(3.11巨大地震)は、過去100年間で一度も地震が起きたことのない場所が震源となった。その震源を起点に、南北500キロ、東西200キロもの範囲がズレ動いていた。研究者にとって、この事実は衝撃的だった。大震災以降、巨大地震のメカニズムを解明するために、その震源域が徹底的に研究された。