なぜロシアのリージョナルジェットは
欧州の型式証明を取得しているのか

 世界の航空局の間では、お互いの審査を簡素化する目的でBASAという相互認証が締結されることがある(図)。このBASAは同じ飛行機について両国で審査するケースが増えていくと、審査の手間が重複し人手が足りなくなっていくことから締結されるものである。したがって、米国と欧州や米国とブラジルなど、それぞれ航空機メーカーを抱えている国同士が締結するケースが多い。

 日本の場合には、MRJの開発が行われるまではアメリカとのBASAでさえ締結されていなかった。つまり、国内で航空機の開発が頻繁に行われ、その航空機が世界に次々と輸出されない限り、日本のJCABはBASAの締結国を増やすことが難しいのだ。

 また、BASAを締結していない場合でも、航空機の審査経験が少ない国などにおいては、事実上EASAまたはFAAの型式証明を取得していれば良い場合も多いという。その結果、航空機の世界では米国FAAの型式証明と欧州EASAの型式証明が、デファクトスタンダードになっているというのが実態なのである。

 そうなると、メーカーが国際競争力を担保したいのであれば、なるべく多くの国で通用するFAAかEASAの型式証明を取ろうとするのは当然である。

 そこで、MRJのライバルであるロシアのスホーイスーパージェットは欧州EASAの型式証明を取得している。また、本田技研の航空機部門であるホンダジェットは米国FAAの型式証明を取得している。

MRJでは国交省航空局の
審査能力も試されている

 それでは、MRJの場合はどうなのか。

 日本のJCABと米国のFAAの間ではBASA(相互認証)が締結されているため、形式的には、日本で型式証明を取得すればMRJは米国に輸出可能である。しかし、物事はそう単純ではない。