上田 今回のテーマは「外資」です。まずは最近の外資をめぐる株式取得問題に関するニュースをおさらいしてみましょう。
まず思い浮かぶのが、2007年8月に起きたスティール・パートナーズによるブルドックソース買収事件。さらに今年2月、豪投資銀行マッコーリーが日本空港ビルデング株の20%弱を取得したのをきっかけに、一気に外資規制論争が巻き起こりました。続いて英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)が、Jパワー株の追加取得を申請しましたが、日本政府が中止を勧告。
そして、スティール・パートナーズほか外資が50%弱の株式を保有するアデランスホールディングスでは、今年5月の株主総会で、社長を含む7人の取締役の再任決議が否決されました。最近のニュースでこの事件が一番大きいでしょう。
竹中 アデランスの件に関しては、外資というより、単純に経営上問題があったから否決されたのだと思いますが、いずれにせよ経営者は「物を言う株主」を否定すべきではありませんね。
上田 竹中さんは外資規制問題のどのあたりに注目されていますか?
竹中 特に日本空港ビルデングとJパワー問題です。このケースは根本から検討し、国民的議論をしなければいけない問題です。
「安全保障上の理由」は
あまりにも筋違いな発言
上田 では、日本空港ビルデング事件についておさらいしてみましょう。
羽田空港内の商業施設の管理運営をおもな事業としている東証一部上場企業で、今年の2月に豪投資銀行マッコーリーが株の20%弱を取得して筆頭株主になりました。この騒動は思わぬ余波を呼び、国土交通省が2009年度以降上場予定の成田国際空港株式会社など、空港施設に対する外資規制を行なう法案を準備していることが発覚。この「外資規制法案」は国内外から強い反論を招いたため見送られましたが、外資規制の動きはいまだにくすぶり続けています。そもそも、外資規制論が持ち上がった理由は何ですか?