2015年1月から相続税と贈与税が増税される。とりわけ首都圏では、無縁だと思っていた相続税があなたの身にも降りかかってくるかもしれない。いつ相続が発生してもいいように備えておきたい。

 2015年1月から適用となる相続税の税率構造は、基礎控除の引き下げと合わせて、6段階だった刻みを8段階とし、最高税率も50%(3億円超)から55%(6億円超)と増やした。

 その結果、課税申告対象者の数も大幅に増加が見込まれている。とりわけ首都圏(東京国税局管内の東京・神奈川・千葉・山梨)では、2倍増の39%、つまり10人に4人は、実際に課税されるかは別として相続税の申告を避けられない時代がやってくるという試算(税理士法人レガシィ)もなされている。

「相続税は富裕層だけが対象」という認識は改めたほうがいい。住宅ローンのない戸建ての家を持っていると相続税を意識せざるを得なくなる。関西圏でも大阪市や堺市、神戸市、その周辺の豊中市・高槻市・箕面市・西宮市といった阪急電鉄沿線の人が、以前は無縁と思われていた相続申告を行う必要が現実になりそうだ。

 具体的にどのぐらいの増税となりそうなのか。これまでは基礎控除前の遺産額が6000万円以下だったらまず申告の必要はなかったものの、改正後は4000万円でもひっかかる可能性が出てきた。

 相続税の申告が必要となっても、実際に納税することになる人は3人に1人程度なのだが、問題は相続が発生してから10カ月以内に申告しなければならないという点にある。

 遺産分割でへとへとになったあと、関係書類を税務署に期限付きで提出しないといけないという作業負担が、今後多くの遺族(相続人)に求められる点こそが、今回の税制改正の一番やっかいなところだろう。

 税理士にとってはビジネスチャンス到来と言えなくもないが、作業量急増による人手不足への対処に頭を悩ましている税理士法人も出てきている。