JVC・ケンウッド・ホールディングス(2008年10月に日本ビクターとケンウッドが統合)が迷走している。昨夏、旧ビクター側による不適切な決算処理が発覚したのを発端に、05年3月期以降の過年度決算を修正し、今期までの6期分合計で170億円の損失処理を迫られることになった。

 目下のところ、JVC・ケンウッドの財務経理部門は、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触する“期限”の3月15日までに、遅延した今期第3四半期決算の確定、過年度決算の修正作業に追われている。中間期には、通期見通しを最終損失200億円としていたが、今回の修正により下振れする。中間期に20%を割り込んだ株主資本比率の低下も避けられない。

 こうした財務の脆弱さを憂慮してか、「(ケンウッド出身の)河原春郎会長兼社長がパナソニックに助けを求めている」(関係者)。ビクターの親会社であったパナソニックは、現在でもJVC・ケンウッドの株式24・45%を保有する筆頭株主だ。「統合前における不適切決算の責任はパナソニックにあり、株式の長期保有を持ちかけている」(同)という理屈だ。河原会長は、「責任の所在は、弁護士等第三者委員会の判断を仰ぐ」と述べるにとどまっているが、実際は、パナソニックによる監督責任を重く考えているようだ。

 確かに、ビクターによる“不正”は看過されるべきではない。だが、経営統合からもはや1年半が経過した。その間の経営責任は河原会長にあり、不適切決算を見過ごした責任は重大だろう。ビクターと同時期に業績が低迷していたパイオニアが、4社と資本提携を締結し、再建のメドをつけたのとは対照的だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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