もしクライアントから、
「値切られたら」どうする?

井ノ上陽一(いのうえよういち)
1972年大阪府生まれ。宮崎県育ち。大学卒業後、総務省統計局に勤務し、数字の分析手法とITスキルを学ぶ。しかし、「自分がやりたかったのは、組織で死ぬまで働くことなのか?」という思いから、税理士受験に挑戦。見事合格し、2007年に独立を果たすが、独立後、新たな壁が立ちふさがる。「自由になった!」という理想は一瞬で崩れ、「仕事・時間・お金」に追われるだけの生活が続く。そんな中、ある大口顧客の契約解除をきっかけに、働き方を一新。結果、「自分のやりたい仕事が、無理なく継続的に入ってくる」という環境を作り上げることに成功する。現在はセミナー・執筆などを通じて、「数字」「お金」「時間」「IT」に関する悩みを解決し、新しいワークスタイルを提案している。ブロガーとしての顔も持ち、自身が運営しているブログ「EX-IT」は、2700日以上連続更新。月間30万PV(月間ユーザー19.7万人)の人気

(4)メニューを作り、定価を示す
 メニューがあれば、請求もスマートにできます。最初から提示しておけば、それを出せないお客さまはきません。ふるいにもかけられるのです。ネット上に値段を載せておきましょう。多少の、受けとりすぎ、少なすぎは仕方ありません。原価のないものであれば、事前に見積もるといっても、正確に見積もることなどできないでしょう。

 やってしまいがちなのは、「5万円〜」と、価格に幅を持たせること。これはやめましょう。自分が買う側のときにも困るように、いくらかわからず不信感を抱かれるからです。明確な原価がない場合でも、値段はきっちり決めたほうがお互いラクです。

【もし価格交渉されたら?】
 価格交渉されないことが第一ですが、もしされたとしたら、提供する価値(モノ・サービス)を減らす、期間を限定するなどを提案し、できるだけ単価を下げないようにします。

 たとえば、90分 5万4千円で、価格交渉されたら、60分 3万6千円にするといった感じです。「定価で買っていただいたお客さまに申し訳ない」という大義名分を持ち、毅然とした態度で接することが求められます。

「単価アップをどう考えるか」についてお話ししてきましたが、業種によっては、価格の決定権を持つことができない場合も多いかもしれません。しかし最終的には、価格の決定権がない限り、単価は上がりません。1つの売上で決定権がないなら、別の売上(コンサル、セミナーなど)で決定権を持つようにすればバランスがとれます。

 たとえば出版の仕事は、価格の決定権がほぼありません。決められた本の価格に印税率で計算されますし、売れるだけ収入は入ってきますが、売れなければそれまでです。このように価格決定権を持てない仕事は、あくまで売り上げ構成の一部として考え、それに頼りすぎないようにしなければいけません