しかし、肝心な企業の設備投資は期待されたほど盛り上がらず、我々がもらう給料も平均すると、物価上昇率に追いついていない。しかも、都市部と地方では景況感が大きく断層ができている。

 わが国経済にとって最も重要なポイントは、規制緩和やTPPなど既得権益層が反対する新しい仕組みをつくることだ。年金制度などの昔つくった仕組みは、すでに実情に適合しなくなっているからだ。

改革に進めないアベノミクス
マーケットの暴力的な是正はある?

 そうした改革は短期的には痛み(デフレ効果)を伴う。その痛みを和らげるために、金融・財政政策を運用するはずなのだが、今までのアベノミクスでは目立った改革の進展はない。むしろ、金融政策への依存度が異常なほど高まっている。

 日銀のバランスシートは膨らむ一方であり、GDPの約6割に達するレベルになっている。国債市場も日銀が1人で市場を独占する状況になっており、流通利回りは日銀が決めていると言っても過言ではない異常な状況になっている。

 株式市場も、日銀や年金資金管理運用機構(GPIF)がメインプレーヤーとなっており、他の投資家は公的機関の顔色をうかがうマーケットになっている。これらはいずれも正常な状況とは言い難い。そうした無理な状況を永久に続けることはできない。

 安倍政権は、充分にそうした状況を理解しなければならない。既得権益層を抑えて、改革を本気で進めることを考えるべきだ。それができないと、どこかの段階で、マーケットが暴力的にそれを是正することになる。

 具体的には、株価の急落や為替市場の混乱の発生などが危惧される。マーケットを自分の都合の良いようにコントロールできると思ったら、大間違いだ。