その中で、ETFについては保有残高が年間約3兆円(3倍増)に相当するよう買い入れを行うとしている。また、「JPX400(JPX日経インデックス400)」に連動するETFを新たに買入対象に加えた。

 仮に前述した提案を実施する場合は、保有残高を4月に年間約6兆円に、10月に同10兆円に拡大するといった規模になるだろう。

 2013年に海外投資家が日本株を10兆円買い越したら日経平均が5割上がったわけだから、それに匹敵する大きなインパクトがあると考えられる。

ETF買い入れには
5つのメリットがある

 ETF買い入れによる金融緩和には“1石5鳥”のメリットがある。

 1つは、購入したETFを売却するときの「出口政策」がやりやすくなること。インフレが過熱した場合に売れば、マーケットをコントロールしやすい。

 2つめは、ETF買い入れによる金融緩和策と、日銀の財務の健全性が同じ方向性にあること。つまり、アベノミクスが成功してデフレを脱却すれば、株価も上がり、日銀の財務の健全化にもなるというわけだ。

 円は安くなり、国債は最高値、つまり金利は史上最低。歴史を見ても、一度信用を失った通貨や国債を買い支えるのは不可能。そのような最悪の状態にならないよう、一刻も早く国債からETFにシフトすべきだ。

 3つめは、株式市場を通して生きた経済にお金が回ること。ETFの買い入れはマネーストック(世の中に出回っているお金の総量)に直結する。国債購入の場合は、銀行にお金が流れてもお金を借りる企業が少ないため、実体経済への影響は少ない。「マネタリーベースが増えるのはたしかだが、実体経済にお金が回らない」というのは現在の量的金融緩和に対する批判の最たるものだ。

 4つめは、資産効果が期待できること。株価が上がれば、経営者や資産家、株主の消費が促され、それが波及して全国的に消費マインドが向上する。

 株価が上がってすべての人が恩恵を受けるとはいえないが、困る人はいない。一方、国債の大量購入によって国債価格が上がり金利が下がると、年金運用などの面で困る人は少なくないだろう。

 そして最後の5つめは、日銀が買い入れるETFに「JPX400」が加わり、企業のROE(株主資本利益率)に対する意識が高まること。JPX400は、資本の効率的活用や投資家を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした「投資家にとって魅力の高い会社」で構成される株価指数のこと。つまり、JPX400の注目度が高まれば、この指数に採用されたい企業が増えるというわけだ。

 結果として、企業のROEに対する意識が高まり、自社株買いや配当額が増えるといった効果が期待できる。企業の内部留保はおよそ300兆円あるが、その有効活用にもつながるだろう。